銀行員の異動は多い?【頻度や時期、内示のタイミング等を解説します】

  • 2020年10月11日
  • 2023年10月18日
  • Banker
 
銀行に就職を考えているひと『銀行員って異動とか出向が多いイメージ。急にやりたくないことをやる部署に行くリスクってどのくらいあるのかな。異動の頻度や希望部署にいけるかどうかの実際のところを教えてほしいです!』

 

こういった疑問に答えます。

 

銀行員の異動頻度、時期、内示等について解説します

 

 

・異動のきっかけ
・実際に異動するとき
・異動のメリット・デメリット

 

 

僕は現役の銀行員です。
某メガバンクに勤めています。

 

銀行員にとって異動は宿命です。
1年目でも部長でも、異動の可能性は常にあります。
同じ部署に複数年い続けると、異動の可能性は徐々に高まってきます。
入社してから同じ部署に留まり続けて定年を迎える銀行員は、まず間違いなく存在しません。

 

就職・転職活動中の方からすれば、異動については気になるところだと思います。
半沢直樹の世界では、『出向は片道切符の島流し』『左遷』のように描かれていました。
この記事では、実際に異動がどのくらいの頻度で起こるのか、自分の希望がかなえられるものなのかどうか、時期やタイミング、異動という文化のメリット・デメリットを解説します。

 

 

異動のきっかけ

 

某番組ではないですが、辞令は突然に訪れます。

 

 異動、転勤、出向

 

異動とは、部署が変わることです。
転勤とは、住所の転居が必要な異動のことで、例えば福岡支店から東京本社への異動等を指します。
海外転勤というと、異動先が海外の支店になります。
出向とは、子会社への異動を指します。

 

出向というと聞こえが悪く感じるかもしれません。
半沢直樹の世界では、ミスした社員は子会社に泣く泣く異動させられ(左遷などと表現される)、一度出向したら戻ってこれない島流し的な取り扱いになっています。
実際には、出向には大きく3パターンあって、①定年近い銀行員が本社内だとポストがないのでやむなく子会社に行く出向、②優秀な若手に経営や企画等の経験を積ませるための人事戦略的な出向、③正直使えない銀行員を事務的な仕事に従事させるための消極的出向です。
これらのうち、『片道切符』になるのは①のみです。
③も片道切符感はありますが、本社に戻ってくることも普通にあります。

 

 

 なんで異動は必ずあるのか

 

その部署の業務が最も適している人なら、そのまま在籍を続けた方が銀行員にとっても銀行にとってもプラスです。
むしろ適していないかもしれない部署に異動させてしまうことで、その社員のやる気や実力を発揮させられず、マイナスになるリスクも大いにあります。
なぜ異動をしなければならないのか。

 

それは、銀行のお上=金融庁からの指導に基づくものです。
金融庁は『長期滞留者を縮小すること』を求めています。
この背景にあるのは、一人の社員がずっと同じ部署にい続けると、顧客との間の関係に緊張感がなくなり、癒着や横領といった悪事が発生する恐れがあると考えているからです。
異動が定期的に起こると、銀行の担当者が変わって引継ぎも行われ、過去に悪事が行われていれば暴かれる機会が得られるし、またそういった事後調査が悪事の未然防止策になっているとも言えます。

 

その意味で、顧客と関わらない事務的なセクションの社員は、必ずしも異動は必須ではありません。
ただ、やはり事務であってもミスの隠蔽等を起こす可能性はあるので、異動の精度が抑止力になっているといえます。
銀行員は連続休暇や有給休暇の取得が必須になっていますが、これも同じような背景に基づくものです。

 

 

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 頻度

 

上述の通り、銀行員にとって異動は宿命です。
優秀かどうか、希望しているかどうかはあまり関係はありません。
だいたい、3年に1回くらいが標準になっていると思います。
4月と10月が大規模で、その他の月は小規模に異動人事が発表されます。

 

ただ、この頻度については少し例外もあります。
例えば専門的な(ニッチな)部署の中心人物になると、異動させてしまうと部の運営が立ち行かなくなるので、5年~10年くらい在籍することもあります。
また、同様の事業の中でフロントからミドル・バックに異動など、異動には変わりないのですが業務的に今と大きく変わらない部署への異動を繰り返す、というキャリアパスを描く銀行員もいます。

 

逆のケースもあって、新入社員のケース。
新入社員はいろいろな業務を経験させたいという人事の意向もあり、1年~2年くらいで異動になるケースがあります。
また、明らかに今の業務が適していないという社員の場合には、本人の強い希望や上司の取り計らいで短期で異動になることもあります。

 

 

 人事面談で異動先の話をします

 

常々、上司とキャリアについての面談があります。
その時に、『在籍期間も長くなってきたから、そろそろ次の異動先の希望を考えよう』と言われます。
在籍期間が短い人は『君はまだまだうちの部署で頑張ってくれ』となります。

 

異動の希望を出していると、しかるべきタイミングで異動になります。
こればかりは、希望先の枠が空かないといけません。
また、希望先の部署が求める人物像や取得資格、専門分野の知識・経験、適性等も必要です。

 

 

実際に異動するとき

 

異動の内示→発令→引継ぎ→送別会→新部署挨拶→歓迎会、といった感じです。

 

 内示から発令まで

 

内示がなされる銀行・部署もあれば、いきなり発令の場合もあります。
内示というのは、公式に発令される前の段階で部長から異動について告げられることです。
通常、発令日の前日夜や当日朝に言われる、という感じです。
ただ、海外転勤の場合には発令の数週間前に内示がなされることもあります。

 

発令がされると、正式に異動が決定です。
銀行によっても変わるのですが、新部署に着任するタイミングは4月・10月1日にしているところもあれば、発令が4月・10月1日で着任はその1~2週間後にしているところもあります。

 

 

 発令から引継ぎ

 

発令されると、異動先の部署の上司との間で引継ぎと着任日についての相談がされます。
今いる部署の自分の後任に引継ぐのと、新部署の前任から引継ぐのと、両方こなさなければなりません。
概ね、発令から引継ぎまでの期間は1週間~2週間(長いと3週間)くらいです。

 

 

 送別会から歓迎会

 

引継ぎ期間中に、現部署の送別会や新部署の歓迎会がセットされます。
現部署は、公式の部の飲み会もあれば、個人的な送別会(同期とか、チーム内とか)もままあると思います。

 

現部署の最終日には、たいていお菓子を配りながらみんなに挨拶していきます。
夕礼で部署全体に向けて一言挨拶の場が設けられてお別れです。

 

新部署の初日は、異動先のチームの管理者および部長にまず挨拶します。
その後、朝礼で部署全体に向けて一言挨拶の場が設けられます。
新部署のみんなにお菓子を配るのは、スタッフさんにお任せするケースが多いですが、用意はしましょう。

 

 

異動のメリット・デメリット

 

異動という制度にも、良い点と悪い点があります。

 

 デメリット

 

前にも書いた通り、自分にとって適性の高い部署からいずれでなければならないということです。
自分にとっても望まない異動だとモチベーションに影響しますし、会社側にとってもそれはデメリットになります。

 

異動になると担当者が変わることになり、それまで積み上げてきたノウハウや知識・経験がゼロリセットになる点もマイナスポイントです。
自分にとっては、その部署で積み上げてきた対顧客関係性や、関係部署との繋がりがなくなってしまうので、新部署では新たにゼロから構築していかなければならず、『今まで頑張ってきたのはなんだったのか』という面が少なからずあります。
もちろん、フレッシュな気持ちで新たな業務に臨んでいくことが肝要と言えます。

 

異動するときには挨拶に配るお菓子を用意しなければなりません。
一人あたり100円くらいの、デパートに売っている菓子折りを用意します。
費用的に結構ばかになりません。(まぁその分送別会がタダになることが多いのですが)

 

 

 メリット

 

やはり、自分にあってない部署の場合に、『あと数年頑張れば異動できるから』と、心の支えになる点が大きいです。
全ての銀行員が『やりたい業務』『力を発揮できる業務』『向いている業務』に従事できるとは限りません。
つまらないなとか、向いてないな、と思う部署の場合でも、いずれは異動で別の部署に行けるという希望があると、つまらないけどあと少しだけ頑張るか、と思うのではないでしょうか。

 

また、職場の人間関係をリセットできる点も大きなメリットです。
常に気の合う上司・同期・同僚に恵まれるとは限りません。
部下が優秀でなければ、その責任や仕事は自分に降りかかってきます。
部長がエキセントリックだと大変な目に合うことも多いでしょう。
こういったときにも、自分も、気の合わない上司・同僚も、いずれは異動でいなくなると思えば、少しは気が楽になります。
実際に異動になれば、心の荷が降り、景色が変わってくることもあります。

 

異動の制度そのものはなくならないと思うので、銀行員になる以上は付き合わなければならない文化です。
良い面も悪い面もありますが、こうしたことも含めて年収の高さに繋がっていると思いましょう。

 

 

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