レバレッジベアファンドのデメリットとは?【知らないと危険です】

 
ショートヘッジ戦略を検討している人『株価がバブル最高値水準まで来ていて、暴落しそうな予感がしています。株価が下がるほど価格が上がるベアファンドへの投資を検討したいです。レバレッジもかけたいのですが、何か注意点はあるのでしょうか?』

 

こんな疑問にお答えします。

 

レバレッジベアファンドとは?

 

レバレッジファンドとベアファンドを分解して解説します。

 

 レバレッジファンドとは

 

レバレッジファンドとは、レバレッジをきかせたファンドのことです。
あまりにもそのまま過ぎて説明になっていないので、もう少し嚙み砕きます。

 

例えば、日経平均株価に連動するレバレッジファンドがあったとします。
『ファンド』というとイメージしにくいかもしれないので、投資信託だと思ってください。
この投資信託は、日経平均株価が1%上昇したら、その3倍の値動きをする仕組みが採用されているとします。

 

具体的な数字で示しましょう。
日経平均株価が20,000円の時に投資信託の価格が10,000円だったとします。
日経平均株価が200円下落して19,800になったと仮定します。
この時、下落率は1%です。
投資信託は日経平均株価の3倍の値動きをしますので、投資信託の価格は3%下落することになります。
よって、投資信託の価格は10,000円から3%下落して9,700円になる、というわけです。

 

こうしたレバレッジファンドは、投資家たちから一定の支持を得ています。
少ない元手で大きな博打が打てる、一攫千金のチャンスがあるわけです。
もちろん、その分大きな損を被る可能性もあります。

 

対象となる指数は、先ほどの例のように日経平均株価のものもあるし、為替だったり個別銘柄だったり、探せばいろんなものがでてきます。
また、指数と同じ方向に動くものばかりではなく、逆方向に動くファンドもあります。
僕も投資しているベアファンドもその一つです。

 

 

銀行員パパブログ

  日本経済新聞2021年1月14日『日本株高の勢いが止まらない。14日の東京市場で日経平均株価の上げ幅は一時500円を…

 

 

 ベアファンド・ブルファンドとは

 

まず、ベアファンドについて説明します。
ベアファンドとは、指数と逆相関の動きを取るファンドのことを指します。
先ほどと同じように、日経平均株価に連動するベアファンド(投資信託)を例にあげます。
レバレッジは1倍だと仮定しましょう。

 

具体的な数字で示します。
日経平均株価が20,000円の時に投資信託の価格が10,000円だったとします。
日経平均株価が200円下落して19,800になったと仮定します。
この時、下落率は1%です。
投資信託は日経平均株価と逆方向に1倍の値動きをしますので、投資信託の価格は1%上昇することになります。
よって、投資信託の価格は10,000円から1%上昇して10,100円になる、というわけです。

 

こうしたベアファンドも、投資家たちから一定の支持を得ています。
通常、株でも債券でも、購入して値上がりを待つということしかできないのですが、ベアファンドであれば値下がりの方向にもベットすることが可能になるわけです。
株価の下落を予想する投資家にとっては、有益なファンドとなります。

 

ちなみに、ブルファンドとはベアファンドの逆で、指数と正の相関にある投資信託のことを指します。
要するに日経平均株価連動の投資信託と同じです。
違いというと、ブルファンドは通常、レバレッジが数倍かけられていることがほとんどです。
少ない元手で指数の上昇にベットしたい投資家から、一定の支持を得ています。

 

 

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レバレッジベアファンドの注意点とは?

 

ベアファンドとレバレッジファンドの特有のメリット・デメリットを解説します。

 

 レバレッジファンドのメリット

 

まず、レバレッジファンドのメリットを挙げるとすると、大きくは以下の二つです。

 

 

①大きな利益を稼げる可能性がある
②ショートヘッジも可能である

 

 

①は、先ほど述べた通りですね。
日経平均株価が1%しか上昇しなかったとしても、自分はそれを横目に3%の上昇をつかみ取ることができるわけです。
少ない手元資金でも大きな利益を稼ぐ可能性があるという点において、レバレッジファンドは有利と言えます。

 

②は、伝統的な投資商品と異なり、逆方向にもベットできるということです。
日経平均株価が下がると思っていたとして、日経平均株価連動の投資信託をもっていればそれを売って後で買い戻せばいいわけですが、持っていなければ指をくわえて待っていることしかできません。
でも、日経平均株価と逆連動する投資信託があれば、それを購入することで日経平均株価の下落=自分の利益となるポジションを持つことが可能になります。
日経平均株価指数の-1倍のレバレッジ、ということですね。

 

 

 レバレッジファンドのデメリット

 

一方で、デメリットもあります。
大きくは以下の3つになると思います。

 

 

①大きな損失を被る可能性がある
②手数料が高い
③売買締め切り時間が早い

 

 

①は、メリットの裏返しです。
日経平均株価指数に3倍連動する投資信託だとすると、株価が1%下落しただけで自分のポジションは3%下落してしまいます。
少ない手元資金で大きなリターンを得る可能性がある一方、狙った動きをしなかった場合のリスクも高く、場合によっては損切りを強制される場合もあるので注意が必要です。
レバレッジファンドの購入は、余裕資金の範囲内に留め、生活資金にまで手を付けて投資する類のものではないものと考えましょう。

 

②も大きなデメリットです。
例えば日経平均株価連動のインデックスファンドであれば、信託報酬率は年0.1%程度です。
ところが、日経平均株価指数に連動するレバレッジファンドとなった瞬間、信託報酬率は年1%を優に超えてきます。
その差10倍です。
保有してるだけで毎年1%手数料をさっぴかれてしまいます。
レバレッジファンドは運用や商品組成が難しい側面があるので、仕方ないところではありますが、投資する側からすると大きなデメリットですね。

 

③ですが、一般的な投資信託は当日15時、つまり株式市場が引けるまでに売買注文をかければ執行されます。
しかし、レバレッジファンドの場合はこの売買注文の締め切り時刻が少しだけ早い、14時50分などに設定されていることが多いです。
案外この10分が大きくて、最後の最後まで値動きを見定めた上で売買執行注文をかけたい人にとってはデメリットになります。
また、このルールを知らないで株式市場の引け間際に注文をかけた場合、翌営業日での執行扱いになってしまい、意図した取引ができない恐れがあります。
意外と知られていないことなので、注意しましょう。

 

 

 ベアファンドのメリット

 

続いて、ベアファンドのメリットを挙げます。
大きくは以下の二つです。

 

 

①通常は不可能な指数逆方向にベットできる
②ロングポジションとセットで株価変動リスクを相殺できる

 

 

①は先ほどの繰り返しです。
通常、株式や債券などの現物は、購入した後にしか売却はできません。
空売りの場合でも、受け渡し日までに現物をどこかから調達してこなければなりません。
ベアファンドは、『購入』という行為を取りながらも指数と逆連動に投資することが可能です。
皆さんがもしも価格の下落を予想している場合、ベアファンドは有効な投資手段となります。

 

②については、例えば株価の変動リスクを抑えたい方にとってメリットになります。
例えば、3倍のブルファンドと3倍のベアファンドを同額持っていれば、株価が上がろうと下がろうと保有するポジション合計の価値は一定に推移します。
このように全額相殺までは行かなくとも、自分の『買い』=値上がり益を期待するポジションを一部でもヘッジしたい場合に、ベアファンドは有効な投資手段となります。

 

 

 ベアファンドのデメリット

 

続いて、ベアファンドのメリットを挙げます。
大きくは以下の二つです。

 

 

①予想と逆方向に価格が推移した場合、損失を被る
②手数料率が高い
③ブルファンドに比べて変動『率』でビハインド

 

 

まず①ですが、これは当然ですね。
ベアファンドに限った話ではなく、予想に反して指数が上昇すれば、ベアファンドの価格は下がります。

 

②についてもレバレッジファンドで述べたデメリットと同様です。
たいていの場合、ベアファンドはレバレッジがかかっています。
従って、ベアファンド=レバレッジがかかっている=手数料率が高い、と思ってください。
手数料率が高い理由は色々ありますが、指数の数倍連動させるファンド管理・運用の難易度が高いことや、空売りや先物などの手数料がかかる取引が多いこと、そもそもニッチな領域なので投資家の足元を見ていること、などが挙げられます。

 

最後に③ですが、ブルファンドに比べて価格の変動『率』で劣る面があります。
具体的な数字で見てみましょう。

 

例えば、日経平均株価が10,000円から100円上昇し、その次の日に100円下落したとします。
2日間トータルで見ると10,000円の元の水準に戻ることになります。
その時の価格と増減率は以下の通りです。

 

 

日付(例)日経平均株価終値値動き増減率
4/110,000  
4/210,100+100+1%
4/310,000-100-0.99%

 

 

さて、4/1に3倍のレバレッジ『ブル』ファンドの価格が10,000円だと仮定して、どのような値動きになるかというと、次の通りです。

 

 

日付ブルファンド終値値動き増減率
4/110,000  
4/210,300+300+3%
4/39,994-306-2.97%

 

 

続いて、4/1に3倍のレバレッジ『ベア』ファンドの価格が10,000円だと仮定して、どのような値動きになるかというと、次の通りです。

 

 

日付ベアファンド終値値動き増減率
4/110,000  
4/29,700-300-3%
4/39,988+288+2.97%

 

 

4/3のブルファンドは9,994円、ベアファンドは9,988円で、ブルファンドに軍配です。

 

 

では逆に、日経平均株価が10,000円から100円下落し、その次の日に100円上昇したとします。
2日間トータルで見ると10,000円の元の水準に戻ることになるのは先ほどの例と同じです。
その時の価格と増減率は以下の通りです。

 

 

日付(例)日経平均株価終値値動き増減率
4/110,000  
4/29,900-100-1%
4/310,000+100+1.01%

 

 

さて、4/1に3倍のレバレッジ『ブル』ファンドの価格が10,000円だと仮定して、どのような値動きになるかというと、次の通りです。

 

 

日付ブルファンド終値値動き増減率
4/110,000  
4/29,700-300-3%
4/39,993+293+3.03%

 

 

続いて、4/1に3倍のレバレッジ『ベア』ファンドの価格が10,000円だと仮定して、どのような値動きになるかというと、次の通りです。

 

 

日付ベアファンド終値値動き増減率
4/110,000  
4/210,300+300+3%
4/39,988-312-3.03%

 

 

4/3のブルファンドは9,993円、ベアファンドは9,988円で、やはりブルファンドに軍配です。
指数が上がってから下がっても、下がってから上がっても、ブルファンドが価格で上回る結果となりました。
なんだか不思議な感じですね。

 

これは、上昇と下落では、増減率を計算する時に使用する分母の発射台が異なることに起因します。
つまり、上昇の場合は分母が小さいところからスタートするので同じ値幅の動きでも上昇率の絶対値は高くなり、下落の場合は分母が大きいところからスタートするので同じ値幅の動きでも上昇率の絶対値は低くなるということです。

 

簡単な算数ですが、ちんぷんかんぷんになるかもしれません。
ざっくり言えば、ベアファンドの方がブルファンドよりも価格推移においては不利な状況に置かれる、とだけ頭の片隅に入れておけばOKです。

 

 

 まとめ

 

レバレッジベアファンドの特徴を、『レバレッジ』と『ベア』に因数分解して解説しました。
それぞれにメリット・デメリットがあり、特にレバレッジベアファンドとなると数学的にも不利な状況からスタートしなければならないことは念頭に入れておくべきです。
また、少ない元手で高い収益を追い求めることができるということは、逆にそれだけ損をするリスクも孕んでいることと同義です。
レバレッジファンドに投資する際は、手元の余剰資金までに留めた計画的な運用をオススメします。

 

 

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