この記事の内容
・気を付けるべきポイント
僕は、現役の銀行員です。
長いキャリアの中で新卒で銀行に就職してきた後輩を何人も見てきました。
彼らが入社してよかった、イメージと違った、なんて話もよく聞きます。
『金融機関』というと生保や損保、証券会社も含むことになります。
僕は銀行しか経験がないので、生保などについても当てはまるかどうかは確証がないですが、同業他社との取引や意見交換も多いのである程度実態はつかめています。
その観点で、大手になるほど金融機関は新卒での就職はオススメできると思います。
新卒者への『ここが金融機関のオススメポイント』6選
中小になるほど怪しいですが、新卒者に金融機関をオススメするポイントは次の6点です。
・めったなことでは破綻しない
・人気に陰りがある
・研修が充実している
・ハラスメントがかなり減った
・ワークライフバランスが充実している
✔ 生涯年収が高い
やはり年収は高いです。
経済ジャーナルPRESIDENTが発表した平均年収ランキングでは、最下位の島根銀行ですら日本の平均年収を上回ります。
》平均年収が高い銀行ランキング
トップの三井住友トラストHDは、ホールディングカンパニーです。
わかりにくいですが、いわゆる銀行ではなく、グループ全体の舵取り機能だけを行います。
従業員平均年齢が50歳を超えているというのはまさにその表れで、経験を積んだおじさんばかりで構成される『お局部隊』です。
母集団がそもそも精鋭部隊になってしまっているので、ここの1,300万円超という数字は無視した方がよいと思います。
✔ めったなことでは破綻しない
例えば、勢いに乗る新興企業の平均年収が2,000万円だったとします。
でも、ブームが去ったあとにその企業は存続できるでしょうか?
または、平均年収が維持されるでしょうか?
金融機関もバブル崩壊を受けて、従業員の年収は大幅に削減されました。
しかし、それは金融機関に限った話ではなく、どの業界も一律同じ動きを見せていて、2020年現在においても全業界に対する金融機関の年収水準はやはり上位にあり続けるということは着目すべきかと思います。
生涯年収が高いというのは、平均年収が高くてかつ企業が破綻しない、という前提のうえに成り立ちます。
金融機関が絶対につぶれないかと言われれば、答えはNoですが、それでもやはり準公的機関であること、破綻してしまったら預金者や取引先への影響が甚大であることから、政府の介入はある程度見込めるのではないかと思います。
そもそも、こうした事態を避けるために極端なリスクをとることが禁じられており、政府介入まで突入する可能性は極めて限定的になっています。
✔ 人気に陰りがある
実は一番大きなオススメポイントだと思っています。
昨今は、仮想通貨やベンチャー企業の参入で、既存の金融機関の地位が脅かされつつある、と多方面で罵倒されています(笑)
実際に、日本経済新聞が毎年集計している人気就職先ランキングでも、金融機関の順位は下落の傾向にあります。
金融機関自身も、業務効率化やコストカットなどの一環で従業員数の削減を進めているといったニュースがたびたび出ており、『就職してもクビ切られちゃうのでは、、、』という漠然とした不安も影響しているのではないかと思います。
僕はむしろこれは就活生にとってチャンスだと考えています。
先にも書いた通り、つぶれる可能性は限定的です。
年収は日本平均に比べて安泰です。
従業員数の削減というのは、バブル入社組のおじさん・おばさんの定年退職による自然減を意図したもので、現役バリバリの社員のクビをきる必要もなければメリットもありません。
とすれば、人気が陰ってるならライバルも少ないので、逆にチャンスだと思います。
✔ 研修が充実している
これは金融機関に限った話ではないかもしれません。
日本の人口が減少している現代において、人手不足は深刻な問題です。
多くの企業が優秀な若手の人材確保を重要なテーマに掲げています。
だからこそ、入社してすぐ辞めてしまわないように、順調にステップアップしていくべき研修などのバックアップ体制が充実しています。
大手になるほど、この傾向は強くあります。
僕の経験した職場でいうと、入社して数週間は同期合同の研修会があり、各職場に散り散りになったあとも各職場での研修勉強会がセットされ、一人ひとりに教育担当者が専属でつくという充実ぶりです。
✔ ハラスメントがかなり減った
飲み会も含めてですが、ハラスメントはかなり減ったと思います。
大手ほど厳しくなっていると実感しています。
このあたりについては、以下の記事も参照してみてください。
転職を考えるサラリーマン『今の会社の給料には不満がある。しかも残業も結構あってなかなか家に早く帰れない…。家庭や趣味…
女性で金融機関に入社すると大変だ、と思うひとも多いかもしれません。
ただ、ハッキリ言って女性ほど昇進・昇格しやすい環境と言っていいと思います。
ハラスメントは少ないし、しかも女性活躍を推進しているわけだから、おんなじ能力の男女がいたとしてどちらを昇進させるかって言ったら、企業からしたらそりゃ女性を選びますよ。
✔ ワークライフバランスが充実している
金融機関の仕事は、『ボーっとしてればいい』というほど楽ではないです。
勤務時間中はがんばって仕事しないといけません。
でも、土日祝日の休みは保証されているし、業後に仕事の電話がかかってくることもほとんどありません。
このあたりについては、以下の記事も参考にしてみて下さい。
休暇の取得もかなりしやすいと思います。
実際僕も、年に6~8日程度のお休みに加え、年2回の連続休暇を取得しています。
男性でありながら育児休暇も取得できており、ワークライフバランスは充実していると思いますよ。
気を付けるべきポイント
こんなひとは要注意です。
✔ 数年でやめてしまう可能性が高い場合
金融機関の平均年収は確かに高いです。
でもその恩恵を享受できるのは、勤続年数が長くなってからです。
若いうちは給料が低く、雑用みたいなこともやらされます(それはどの企業でも同じかもしれませんが)。
もし、忍耐力がないとか、飽きっぽいとか、数年で辞めてしまう可能性があるなと思うなら、新卒で金融機関に入社するのはオススメしません。
若いときの低い給料・雑用期間だけを過ごし、その後の高給取りのオイシイ期間をフイにしてしまうからです。
ただし一つだけ注釈がつきまして、数年で辞めても、その後さらなるステップアップでより高い給料の金融機関に転職することを考えているならば、新卒での入社が全然アリだと思います。
一企業に生涯身を置く人生ばかりではないのが現代です。
これくらいの貪欲さをもって就活したほうが、その後の自分の人生にプラスだと思います。
✔ いっぱい働いて残業代を稼ぎたいと思うひと
結論からいうと、これは無理です。
それくらい残業や休日出勤に対する規制が厳しくなっています。
残業した方が給料が高くなるのはその通りです。
そのため、無駄にだらだらと仕事して、成果もないのに給料が多い社員も実際のところ存在します。
ただ、そういったひとが昇格して偉くなるようなことは非常に少なくなってきたようにも思います。
今のご時世、どれだけ少ない時間で成果を出すか、これに尽きます。
なかなか定量的に測るのが難しいので、絶対に成り立つとは言い切れないですが、さっさと仕事を片付けて早帰りすること、これが昇格・昇進に繋がり、引いては生涯年収の向上につながると思ってよいと思います。