コロナ禍により、銀行の働き方改革が進行中です
テレワークが絶賛進捗中。業績への影響は限定的です。
✔ 本記事の内容
・銀行の業績への影響
・飲み会、宴席等への影響
コロナによって多くの常識が変わりつつあります。
朝の通勤電車は、コロナ前のような満員ではなく、それなりに空いています。
街の飲み屋街はおとなしい限りです。
職場の同僚と食事や会話をする機会も減りました。
現役のメガバンク銀行員である僕の肌感覚として、2020年2月後半くらいからきな臭い匂いが漂い始めた感じがします。
3月に入るとその感覚が現実のものになり、緊急事態宣言で一気に状況が変わりました。
とはいえ、世の中の資金決済が滞ってはいけないし、経済は回さなければならない。
銀行員は社会の基盤機能維持者として、感染リスクを最小限に抑え、かつ業務を最低限こなしていくという、大きな制約の中で両輪を回していく立ち回りを求められました。
こういってしまっては失礼にあたりますが、飲食や宿泊、娯楽といった分野は、最悪の場合なくてもみんなが生きていけます。
食品や農林水産、そして金融は、無いと経済や国民の生活に直結します。
この観点で、コロナ禍の暗黒期である緊急事態宣言下においても、銀行は通常通りの職務が求められました。
感染リスクを抑えるためには出勤時間をずらさなければならない。
そんな義務感から、時差出勤の緩和が進みました。
そもそも出勤することに感染リスクがあるから、在宅ワークや出勤停止が行われました。
みんなが在宅ワークでは出来ることに限界があり、業務が回らないから、銀行のインフラを一部、在宅でも活用できるようにネットワークの解放が進みます。
情報セキュリティーとの兼ね合いで、社内のイントラネットに接続可能な専用端末や携帯電話の手配が進み、徐々に在宅ワークでもできる業務が広がってきました。
コロナ禍によって、その前の状態にはいまだ戻れない状況が続きますが、ある程度こんなクソみたいな状況に慣れつつある10月です。
きっと秋から冬になり、ウィルスの活動が活発になってくると感染者の数はなかなか減少せず、しばらくはこのような環境が続いてしまうのではないかと思っています。
完全なワクチンを十分な量、供給できるようになるまでは、少なくとも今の制約を甘んじて受け止めつつ、日々の業務をこなしていく必要があります。
在宅勤務の実態
在宅勤務の体制が急速的に整っています。
✔ みずほフィナンシャルグループの方針
みずほフィナンシャルグループは銀行、証券、信託銀行など本社勤務の社員およそ1万2000人のうち、25%を恒常的にテレワーク勤務とします。テレワークする社員は固定せず、常に3000人ほどの枠を設けていくとしています。これに伴い、今年度中に首都圏に9か所の「サテライトオフィス」をつくることを検討しているということです。
コチラの記事でニュースになっていたみずほのテレワーク方針です。
テレワークとか、在宅勤務とか、リモートワークとか、言い方はいくつもありますが、要するに『職場に行かないで仕事をする様式』ということかと思います。
自宅で仕事するスペースがある方はいいのですが、個室や書斎がないひとはリビングなどで仕事をしなければならず、最近では仕事用スペースを貸し出すサービス等も出てきていますね。
実際にコロナによって銀行は在宅勤務の体制を敷かなければならず、それにかけるコストも相当大きかったと推測します。
在宅用のパソコン、連絡用の携帯電話、USB、WiFi、通信インフラ、etc
ワクチンの開発で元通りになったとしても、かけてしまったコストを回収するために、この新しい働き方はある程度続けていかなければ元が取れないという発想なんだと思います。
✔ フロント部隊の在宅割合
フロント部隊の在宅の割合ですが、ざっくり5割くらいだと思います。
要するに、自分がフロント部隊に所属していたとして、週に半分くらいは職場に行き、半分くらいは自宅で仕事をする、ということです。
フロントというのは、顧客との交渉や提案、セールスを行うセクションのことで、総合職と一般職の職種の違いでいうと総合職が多く在籍することになります。
顧客側もあまり提案に来られてもコロナがあるので迷惑でもあり、むしろ物理的には来てくれるなという方が多くいます。
銀行側としても移動を伴うことによる感染リスクの排除と、万が一顧客に感染させてしまうリスクを考えると、積極的に往訪はしにくい状況です。
WEB上でのミーティングやメール・電話会議などでのコミュニケーションが一般的になりつつあります。
社内のミーティングも、個室に籠って打ち合わせという機会は非常に限定的です。
これらもおおむねWEB上でのミーティングや電話会議で代替されています。
WEBミーティングを行うための各自の携帯端末やパソコンが必要になりますが、ここはさすが大手企業ということもあって、十分な設備が分け与えられています。
✔ バック部隊の在宅割合
バック部隊の在宅の割合ですが、ざっくり1~2割くらいだと思います。
フロントに比べて圧倒的に出社比率が高いといえます。
バック部隊は、資金決済や帳票作成等を担当します。
資金決済の場合には、銀行の基幹システムにアクセスしたり、伝票を書いて窓口に持って行ったりしなければなりません。
帳票作成や郵送も、社の印鑑を押印したり、紙を刷りだしたりする作業は職場でなければできません。
そのため、フロントに比べてどうしても出社比率が高くなっています。
逆に言うと、全社的に出社比率を抑えようとする場合に、バック部隊はどうしても出社せざるを得ないひとが多いから、消極的にフロント部隊が在宅に『させられている』という色合いも強いです。
緊急事態宣言中においても、バックの出社比率は8割を優に超え、ある程度落ち着いて在宅勤務環境が整いつつある10月になっても、いまだ出社比率は8割超えというのが実感です。
銀行の業績への影響
プラスとマイナスの両面ありますが、結果的にトントンかと思います。
✔ マイナス面
まず、マイナス面からお話します。
コロナによって、貸出先の状況が悪化し、貸出金の回収が滞る可能性が高くなります。
こうなった場合に、回収できないリスクを貸倒引当金として計上し、当期の損となります。
飲食店と中心に売り上げが激減し、経営の立ち行かない中小零細企業も増えています。
コロナ破綻企業の増加という記事も多く見かけるようになりました。
貸出を行っている銀行も無傷のはずはなく、従来に比べて焦げ付きになる貸倒引当金の金額は高くなると思われます。
✔ プラス面
ところが一方で、プラス面もあります。
これだけ売り上げが伸びないので、毎月の資金繰りが悪化し、何とか持ちこたえるために銀行からの融資をむしろ欲する企業が増えているのです。
もちろん、銀行側は回収の見込みがなければ貸出は行いませんが、十分な担保や裏付けがあれば貸出を行います。
コロナ前は銀行側が売り手で、どこの企業も金が要らないのでなかなか借りてくれず、貸出金利も引き下げ傾向が続いていましたが、コロナによってこのトレンドが逆転しています。
銀行側からすると、待っていても融資の依頼を受けるし、かつ利回りの交渉もしやすいので、貸倒引当金の積み増しと比較しても十分に採算が取れるだけの案件・材料があるといえます。
念のため付け加えると、この環境下では貸出にもリスクが伴うので、それに見合った利回りを要求している、ということにすぎません。
決して暴利を貪っているわけではありません。
✔ 結局のところ
業績面では、マイナスをプラスが相殺している感じになるかと思います。
コロナによる銀行業績への影響は限定的→破綻のリスクもなく、給料の減少リスクも低い、ということです。
飲み会、宴席等への影響
飲み会、宴席の回数は超激減です。
✔ 飲み会
職場内での飲み会の数は、ほぼゼロです。
街の居酒屋を覗いてみると、結構飲み会をやっている光景を10月時点では見かけますが、銀行員においてはほぼご法度です。
やはり社会基盤の最低限維持者の立場として、軽率な行動は慎むようにとのお達しが出ており、部長以下なかなか飲み会をやろうという雰囲気にはなりません。
オンライン飲み会でもやるかという声もあるようです。
少人数であればそれでも良いのですが、やはりお酒や食事を自分で用意しなければならないし、大人数になったときに話が混線しがちでなかなかリアル飲み会のようにはいかないのが現実です。
通常であれば4月や10月に歓送迎会が催されますが、コロナ禍においてはそれすらもストップの状況になっています。
飲み会嫌いなひとにとっては朗報ですが、全く飲み会がないのもコミュニケーション不足に繋がり、よい結果ばかりとは言えないかなと感じる今日この頃です。
✔ 宴席
まず、実施されません。
宴席を仕掛けた結果、相手に感染させてしまっては元も子もないからです。
やはり、食事を伴う会食は、リスクが高すぎます。
絶対禁止というわけではなく例外もありますが、そもそも相手側はYesというかという問題もあります。
ゴルフ等の接待も、緊急事態宣言以降はほぼ実施されていないといってよいでしょう。
宴席や接待が苦手な社員にとっては、この上ないフォローの風です。