【FIREを目指す銀行員】不動産投資を考える

  • 2021年2月11日
  • 2023年10月18日
  • FIRE
 
早期退職を目指して不動産投資を検討中のひと『キャッシュを投資に回して資産残高を拡大させたいけど、株や債券だとせいぜい利回り5%程度が関の山。仮想通貨は値動きが激しすぎて怖いし…不動産投資は比較的リスクも少ないって聞くけど、実際のところどうなんだろうか。』

 

こういった疑問を僕も持っています。

 

FIREを目指すにあたり、不動産投資を考えます

 

不動産投資のメリットデメリットと、FIREを目指すうえでの要・不要を考えます。

 

 本記事の内容

 

 

・不動産投資の比較
・レバレッジの効果を実例で解説
・FIREを目指すうえで不動産投資は必要か否か

 

 

FIRE(早期リタイア)を目指す現役銀行員です。
現在の資産残高は現金同等物のみで3,500万円ほどですが、投資にほとんど回せていないので、ETFや投資信託等に少しずつ振り分けを行っています。

 

 

銀行員パパブログ

  僕『銀行員は給料もいいし、金融庁の目も厳しいから残業の規制もあって守られてるし、そんなにすぐつぶれるような会社でもな…

 

 

個別銘柄の株や債券への投資は、銀行員である以上ご法度のため、ETFや投資信託などのようなバスケット商品に投資を行っています。
もちろん、ETFや投資信託にも尖った商品=リスクがあるけどリターンも良い商品、が存在するのですが、相場が崩れたときには評価額も大きく切り下がってしまい、損切りで売らないとしても、精神的に辛い思いをすることになります。

 

その点、不動産投資であれば、実需がある以上は家賃も大きくぶれないし、景気の波に比較的左右されにくいといえます。
入居者が集まりさえすれば、息が長くて利回りの良い運用ができるということです。

 

FIREを目指すうえで、中長期的なリターンを求めて不動産投資に手を出すというのも一計です。
リフォームや需要調査、値付けの妥当性評価等、不動産そのものの目利き的なところは専門家ではないのでわかりかねますが、いち投資手段としての不動産投資がFIREにとって必要かどうかを検証していきたいと思います。

 

 

不動産投資の比較

 

不動産投資の中でも種類が分かれます。

 

 不動産vs株・債券

 

まずは、不動産投資と株式投資(または債券投資)を比較してみます。

 

 

 不動産投資株式・債券投資
投資額高い低い
利回り比較的高い(ものによって10%~)比較的低い(せいぜい5%)
景気動向に左右されにくい左右されやすい
元本価格基本的に上昇を見込めないが、ゼロにもならない上下どちらにも動き、個別銘柄だとゼロもあり得る
資産の劣化建物は劣化する(土地は劣化しない)劣化しない
手数料高い安い
売却困難容易
管理コスト管理・修繕費、回収・客付け委託、保険、税金、etc配当・売却益に対する課税
主なリスク客付けできない、入居者リスク、物件リスク企業リスク
借入可能不可

 

 

大まかにこんなところかと思います。
不動産投資といっても利回りに関してはピンキリで、新築の都内一等地だとすぐに入居者を付けられる代わりに物件費も高いため、利回りは3%台とか普通にあります。
地方になるほど、物件が築古になるほど、利回りは高くなっていく傾向があります。
株式は、尖った商品を除いて、米国ETFでもせいぜい5%くらいが限界かなという印象です。
株は少額から始められますが、不動産はどんなに安くても100万円くらいは必要になります。

 

株式は景気が悪くなれば株価も下がっていくのが常ですが、不動産は景気が悪かろうがなんだろうが、住まいを求める人は一定数必ずいるし、景気によって家賃が大きく上下するものではありません。
ただ、株は企業が成長するなら価格も上がっていく可能性があるのに対して、不動産のうち建物は成長があり得ません。
どんなに丁寧に扱っていても、物件そのものは劣化していき、いつかは価値がゼロになります。
そのため、株は購入の数年後に売却して利益が出るケースが普通にあり得る一方、不動産は滅多なことがない限り購入価格未満で売却することになります。

 

加えて、株はネットでポチっとクリック一つで売却可能(もちろん売りたい価格で売れるかどうかは置いておいて)ですが、不動産はバーゲンセールと思った価格でWEBに掲載してもすぐに売れるとは限りません。
管理コストも株に比べて諸々かかるし、入居者がつかないリスク、ついてもトラブルになるケース、物件そのものに異変が発生するリスク等が内在し、サラリーマンをつづけながら管理していくのは結構大変なように思われます。

 

要するに、いろんなリスクと面倒くささがある代わりに、それに見合ったリターンがあるということです。
投資の世界においては極めて一般的な方程式に当てはまります。
ただ、不動産投資のメリットとして借入が可能である、という点は見逃せず、これについては後述します。

 

 

 不動産の種類

 

不動産の中にも種類があります。

 

 

 戸建区分マンションアパート
投資額低い~高い低い~高い高いことが多い
借入のしやすさ難しい比較的容易中程度
借入金利高い比較的低い高い
客付けのしやすさ難しい比較的容易比較的容易
土地の価値残る残らないことがある残る

 

 

これもピンキリといえばピンキリです。
戸建・区分マンションは築古で地方になると安い物件も多くありますが、都内になると土地代の高さに引っ張られます。
アパートは一棟買いが基本なので、広い土地+上物代になるため、高額となるケースが多い印象です。

 

銀行の融資の視点で言うと、戸建やアパートは上物の価格を見積もれないのでローンをつけにくいです。
区分マンションの場合はそれなりにセカンダリーマーケットで基準価格みたいな相場があるので、万一の場合は担保売却でローン返済を見込むことができます。
従って、戸建・アパートは『本当に入居者がつくかどうか』が審査基準になるケースが多いのに対し、区分マンションだと『入居者がつかなくても万一の場合は売却するので、原則年収の範囲内でローンが返済できそうか』を審査基準にするケースが多いのではないかと思います。
借入のしやすさと借入金利は相関にありますから、借入しにくい戸建・アパートは金利が高いです。

 

区分マンションやアパートは、部屋の広さによって一人世帯~ファミリーまで幅広く客付けできます。
一方、戸建てに一人で住みたいというニーズはほとんどないため、戸建ては客付けの母集団が狭く、難しいといえるでしょう。

 

区分マンションのメリットは上記の通りですが、アパートや戸建てと違って土地の所有割合が限定的であるため、最後の最後、上物を潰して更地にして売却あるいは新築をたてるといった出口戦略に制約が出ることがデメリットです。
また、そもそもマンションそのものの解体等は全住居人のうち大多数の賛成とその費用捻出が必要になるため、現実的ではありません。
この先、築年数100年を超えるマンションも出てくるのでしょうけれども、再利用価値の乏しい立地にあるマンションはどうなってしまうのか少し怖い気がします。

 

 

レバレッジの効果を実例で解説

 

不動産投資、最大のメリットである借入の効果とは?

 

 手元資金以上の投資ができる

 

株で投資しようと思ったときに、『お金がないから借りよう』はできません。
厳密にいえばカードローンで借りればいいのですが、金利が10%くらい平気で超えますので、割に合いません。
そのため、株で投資する場合、手元資金までしか投資ができないという制約があります。

 

不動産投資の場合、(戸建てやアパートは別ですが)不動産を担保に借入を受けることができます。
金利も安ければ今のご時世2%くらいで引っ張ってこれるでしょう。
今、自分の手元にキャッシュが200万円しかなくても、ローンを組むことで2,000万円の物件を購入し、運用することができるわけです。

 

 

 でも、ローンの返済があります

 

『だから不動産投資は素晴らしい、超儲かる』、わけがありません。
ネットで情報を漁っていると、『不動産投資はローンでレバレッジをかけられるから効率的だ』みたいな記事を目にすることがあるのですが、説明不足すぎると思います。

 

例えば、次の事例で考えてみましょう。

 

 

物件価格:1,000万円
借入金:1,000万円
借入金利:0%(話を簡単にするため)
借入期間:10年間
年間返済額:1,000万円÷10年=100万円
賃料(コスト控除後):年間100万円
実利回り:100万円÷1,000万円=10%

 

 

このケースの場合、手元資金は全くなくても投資ができます。
物件価格1,000万円を、全額借入金で充当しているからです。
借入金利が0%というあり得ない楽観シナリオを置いた場合、年間のローン返済額は100万円になりますね。

 

一方で、実利回り10%、かつ空室が全くなかったと仮定した場合、年間の賃料収入は100万円になります。
当初10年間は、この賃料収入100万円とローン返済額100万円が相殺され、手残りは0円です。
11年目からようやく、年間の賃料収入100万円が自分の手元に残ることになります。
そのころ、物件の価格は確実に今よりも下がっています。劣化が進んでいるからです。

 

 

 実際には

 

上記の例をより現実的なシナリオに置き換えると、こんな感じでしょうか。

 

 

物件価格:1,000万円
借入金:1,000万円
借入金利:3%
借入期間:20年間
年間返済額:約66万円(計算できるWEBサイトがいくつもあります)
賃料(コスト控除後):年間80万円
空室も含めた実利回り:(80万円×空室率10%)÷1,000万円=7.2%

 

物件価格1,000万円だと、せいぜい月額賃料は8万円程度かと思います(素人ですが)。
ここから管理費用や税金、保険等が1割くらい引かれるとすると、年間の賃料は80万円がいいところかと。
フルローン3%で20年間借り入れた場合の年間返済額は約66万円ですので、差額の14万円が毎年手残りになります。

 

ただ、手残りがあるようにローン返済期間を20年にしてます。
20年の間に物件は劣化し、賃料の引き下げや空室期間の増加、住人とのトラブルや事故等のリスクを抱えます。
なお、20年後にローン完済してからは賃料80万円がまるまる手残りになり、物件の残価も売却できれば利益となります。
ローン返済期間を長くするほど、その期間の手残りは増える一方で、期間リスク(物件劣化や事故、住人トラブル等)を抱え続けることになるわけです。

 

 

FIREを目指すうえで不動産投資は必要か否か

 

サラリーマンを続けながら、は難しいのではないかというのが結論です。

 

 株式投資との違い

 

株式投資の場合、手元のキャッシュ1,000万円を投資に回して保有し続けます。
(FIREを目指すうえで、短期売買を目的とはせず、中長期ホールドでトータルリターン向上を目指すため)
投資に回した瞬間、1,000万円はロックされ、その対価として配当等を受け取れます。

 

不動産投資で借入を活用する場合、手元のキャッシュはなくても確かに投資はできます。
しかし、借入期間を短くすると、どんなに実利回りが高くてもその期間の手残りはほぼ無しです。
借入を完済した後、ようやく金のなる木に生まれ変わるわけです。

 

 

 不動産の管理

 

不動産の管理も、一筋縄でいくとは思えません。
管理会社やその地域の不動産会社に委託すれば、ほとんどすべてのことはやってくれるのだと思いますが、そうはいっても家主が判断を求められるケースも多いでしょう。
物件価格が低い=賃料が安いところに住む人ほどそういった事象が多そうなイメージを持つのは僕だけでしょうか…

 

FIREしたあとであれば、時間的な余裕もあるのでやりやすいと思います。
リフォームが必要な場合に、例えば自分でDIYして経費節約するとか、立ち合いが必要な場合でも飛んでいきやすいとか、時間的な制約がないことで突破できる論点は多そうです。
しかし、FIREしようとしている期間はサラリーマンなので、なかなか難しいのではないかというのが個人的な見解です。
しかも、FIREした後だと、社会的信用力が低くなるため、ローンを借りようと思ってもなかなか借りられなくなることが想定されます。

 

 

 FIREを目指すうえでの不動産投資

 

ピカピカの一等地に立つ物件の場合は、入居者がつかないリスクが低い一方で、物件価格が高いし実利回りも低いです。
借入期間が35年の場合、その期間に様々なリスクが想定され、ローン返済の実現力に懸念があります。
数百万円くらいの築古物件であれば利回りは出やすいのですが、空室リスクやコスト、管理手間、出口戦略を考えると尻込みしてしまいますね。
キャッシュに手を付けずに投資できるのは株式投資にないメリットではあるものの、真に手残りが増えるのはFIREした後にしかやってこないこと、その間もその後も不動産リスクを抱えること、様々なコストを考えると株式投資対比でそこまで魅力的な利回りでないこと、等を考え、しばらくは手を付けない可能性が高いというのが個人的な見解です。

 

もちろん手元キャッシュの範囲で借入せずに投資すればよいのですが、結局それだとレバレッジ効果はなく、純粋に利回りと手間を天秤にかけて株式投資と比較することになります。
株は個別銘柄や投資タイミングを分散することでリスクを小さくすることができる一方、不動産はある程度まとまった資金を投入することが求められるためリスクが偏ります。

 

サラリーマン時代でないと借入しにくいのも事実なので、このメリットに見合う物件があればよいのですが…

 

 

 

 

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