トケマッチが突然の法人解散を発表…預けていた高級時計の行方は?【注目ポイントを考察します】

  • 2024年2月7日
  • 2024年2月9日
  • Watch
 
TOKE MATCHに時計を預けていた人『資産運用のつもりで、ロレックスなどの高級時計をトケマッチに預けていました。すごく高い預託使用料を受け取れていたので、とても良い投資だと思っていたのですが、先日、突然の法人解散が発表され、どうしたらよいのか路頭に迷っています…本当に時計は戻ってくるのでしょうか…?』

 

突然解散を発表したTOKE MATCHについて、元銀行員の目線で考察します。

 

トケマッチが突然の解散を発表

 

高級時計の貸し手と借り手を繋ぐサービスでした。

 

 

 TOKE MATCH(トケマッチ)とは

 

TOKE MATCH(トケマッチ)とは、高級時計の貸し手と借り手を繋ぐサービスを提供するサイトです。
貸し手のメリットは、普段使わない時計を眠らせるのではなく、第三者に有償で貸し出すことで収益を上げることができます。
借り手のメリットは、高嶺の花と思われていた憧れの高級時計を毎月定額支払うことでレンタルすることができます。
トケマッチのメリットは、借り手から受領する月額の収入から、貸し手に支払うレンタル料の費用を差し引いた差額が儲けになる、というものです。

 

腕時計の価格はこの数年で急激に上昇してきました。
僕がロレックスのデイトナを購入した2020年8月は、まだ定価130万円台でしたが、足元2023年9月は定価が200万円近くまで高騰しています。
約3年間で65万円ほど、ざっくり1.5倍にまで値上がりしたことになります。
一方、この3年間で日本人の平均的給与は全然上がっていません。
高級腕時計を着用したいと思っていても、給与の上昇が腕時計の価格上昇に追いついておらず、働けど働けど高嶺の花との距離は開く一方な状況にあるわけです。

 

そんな中で、トケマッチのサービスは確かに貸し手と借り手の双方にメリットをもたらしていたかもしれません。
高級腕時計を何本も所有している人は多くいますが(僕もその一人)、そのうち何本かは使わないでタンスの肥やしになってしまっていて、もったいない。
それを誰かに貸し出して収入を得ることができるのであれば、金銭的メリットは大きいですよね。
借り手も、高級腕時計を購入するための多額の資金を用意しなくても、月額1万円からでレンタルが可能となり、一時的な欲求を満たすことができます。

 

 

 トケマッチのサービス内容とリスクについての考察

 

そんなトケマッチですが、2024年1月末をもってサービス終了となりました。
当時のサービス内容の詳細と、僕も貸す側として利用を検討したことがありましたが考察の上で見送った経緯を、以下の記事にまとめてあります。

 

 

銀行員パパブログ

  TOKE MATCHについて興味がある人『ロレックスなどの高級時計を趣味で複数本もっています。最近、トケマッチという…

 

 

ざっくり言うと、『あまりに怪しいから近寄らない』ということでした。
ビジネスモデルにそもそも難がありましたし、貸す側のメリットがあまりにも大きく、借りる側の金銭的負担があまりにも大きいという歪んだ経済的利益関係が受け入れられませんでした。

 

 

 突然の解散発表

 

さて、2024年1月末に、急遽以下のリリースが発表されました。
トケマッチを運営する合同会社が解散し、サービスを終了するというものです。

 

 

ネオリバース - 人と人を、繋ぐ。

謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 さて、弊社は創業以来3年に亘り皆様のご厚情をいただき、本 […]…

 

 

以下、将来に記録を残す意味でも、転載させていただきます。

 

法人解散によるトケマッチの今後について(2024.01.31)

 

謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、弊社は創業以来3年に亘り皆様のご厚情をいただき、本日まで営業を続けてまいりましたが、諸般の事情により来る2024月1月31日をもちまして、合同会社ネオリバース(腕時計シェアリング事業トケマッチ)を解散することとなりました。弊社にお寄せいただいたご高誼に心から感謝申し上げるとともに、力不足を深くお詫び申し上げる次第です。勝手を申しますが何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。弊社トケマッチをご利用中の皆様に対し、今後の流れにつきましては、以下の通りとさせていただきます。

 

【レンタル商品について】
弊社よりレンタル中のユーザーへ書面及びメールにて返却要請をいたします。その際にレンタル商品の返却先住所等を指定いたしますため、ご協力いただけますと幸いです。また、月額レンタル決済は前回の更新を最終とし、2024年2月1日以降は発生いたしませんのでご了承ください。

 

【預託商品について】
預託商品は順次、ご登録住所にご返却させていただく流れとなります。現時点において弊社の解散手続き及びレンタル中等の事情により、明確なご返却日につきましてはご回答できかねますことをご了承ください。ご返却につきましては本日より6ヶ月を目安として発送手配いたしますが、万一ユーザー側の帰責事由等によりご返却が難しい場合、弊社サービス規約第9条及び所有時計の預託に関する同意書に基づき、損害賠償の金額をお支払いさせていただきます。損害賠償の金額のお支払い先はご登録の銀行口座と同一となり、変更は不可となりますためご理解の程よろしくお願いいたします。また、預託使用料は2024年1月末(2023年12月分)のお支払いより送金停止とさせていただきます。

 

【キャンペーンについて】
昨年に開催しておりましたキャンペーンによるAmazonギフト券につきましては、上記、諸般の事情により進呈が困難な状況となります。可能な限り、お早目の送付となるよう尽力いたしますが、こちらも明確な日付はご回答できかねますことをご了承ください。本件に対する弊社へのお問い合わせにつきましては、大変混雑が予想されること、明確なご回答ができかねる状況となりますため、お控えいただきますようお願いいたします。今後は改めて弊社代理人が決定次第、弊社サービスの利用者様へ個別にご連絡させていただきます。これまでに皆様から賜りましたご厚情に対し心より感謝申し上げるとともに、ご迷惑をお掛けする結果となりましたことを深くお詫び申し上げる次第でございます。

 

2024年1月31日
合同会社ネオリバース

 

 

僕もTwitterのフォロワーの方からメッセージをいただき、知ることになりました。
数か月前に記事にしたばかりだったので、青天の霹靂でした。

 

 

 

 

 世間の反応

 

Twitter(X)のコメントなどを見ていると、『大切な高級時計を見ず知らずの他人に貸与するなんてリスク管理能力が甘すぎる』とか『溶けマッチww』、『そもそも怪しすぎるスキームで、預けた人間がバカ』とか、言いたい放題な様相となっている節があります。
僕個人としては、ハイリターンを得るためにはハイリスクを負うのが世の定石であり、リスクを負ったからこれまでのリターンがあったわけで、その心意気や判断は他人から卑下されるようなものではないと考えています。
問題が起こった後であれば傍観者は何とでも言えますからね。

 

いくつかの媒体でもニュースとして取り上げられています。
『被害者の会が立ち上げられている』とか『本当に時計が戻ってくるのか不安の声が上がっている』とか、どれも当たり障りのないコメントが多い印象です。
トケマッチの運営会社に問い合わせをしてみても繋がらない状況のようです。

 

 

時計は戻ってくるのか?今後について考察

 

あくまでも僕個人の私見です。参考程度にお含み置きください。

 

 

 情報を整理

 

まず、法人解散発表のリリースを分解すると、以下の情報が抽出されます。

 

 

レンタル中のユーザーに返却要請し、返却先は指定される。
②月額レンタル料・
預託手数料は、2024年2月1日以降は発生しない。
③預託商品は順次返却されるが、時期は未定(2024年7月末までが目途)。
④返却できない場合は損害賠償金を支払う。

 

 

順に考察していきたいと思います。

 

 

 ①レンタル中のユーザーに返却要請し、返却先は指定される

 

返却先がどこなのか、については興味があります。
もしもトケマッチの会社住所だとすれば、貸す側のオーナーが殺到し、場合によっては暴力による奪還等の騒ぎになりかねないため、この線はまずないでしょう。
借りている人が直接、その時計の所有者の住所に送れば問題ないようにも思われますが、高級時計所有者の住所という個人情報が流出するのは別の問題を引き起こしかねないので、これも無いと思います。

 

運営会社の役員たちが根こそぎくすねるつもりで、役員たちしかわからない住所を指定してくる可能性もあります。
その場合は、借り手から返却だけさせて、オーナーには返却しないでトンズラするということになりますが、僕は個人的にこの線は薄いのではないかなと思っています。
というのも、高級時計を大量に持っていても、それだけでは生活できません。
必ず、『売却する』という行為に及ぶ必要があるわけですが、大量の高級時計を並行店に流したら、すぐに目につくし足がつきやすいです。
ただでさえ高級時計は識別番号がユニークに割り振られているわけで、被害届を受けた警察が並行店などに指名手配情報としてばらまけば逮捕は簡単なように思われます。

 

そもそも悪意を持って清算処理をしようとするのであれば、④の返却できない場合は損害賠償金を支払う、などと謡わないのではないかなと思います。
結局、一番ありうるのは、可能な限り元の所有者に戻すけれども、個人情報や奪還・強奪などの別の犯罪を引き起こさないように、一時的に客観的第三者に集中させておく、という可能性が高いと考えます。
もちろん、最悪の場合は会社役員による持ち逃げですし、それを完全に否定するだけの材料はありません。

 

 

 ②月額レンタル料・預託手数料は、2024年2月1日以降は発生しない

 

借り手側のレンタル料は、1月以降は発生しません。
これは結構重要な要素だと思います。
借り手側は、返さざるを得ないことになるからです。

 

法律用語で、『双方未履行双務契約』という言葉があります。
これは、片一方が契約を履行していない状況であれば、もう片方はその契約を解除できる、というものです。
トケマッチは、時計をレンタルする代わりにレンタル料を受け取るわけですが、レンタル料を受け取らないと言っているのだからレンタルする義務は経済的にはありません。
借り手側も、レンタル料の徴収を受けていないのにレンタルを続けられる根拠が無いわけです。
仮にレンタル料の徴収を受けておらず、時計を返却してくれと言われているのに返却しなかったら、借り手側はただの借りパク状態になります。

 

Twitterなどでは『破産しちゃったんだから返さなくてもいいやっていう輩とかいそう』といった、借り手側を不安に煽るコメントも見られます。
しかし、レンタル料を取られていないのに返却しなかったら下手すると犯罪に当たりかねないと思います。
すべての借り手が返却してくれるかはわかりませんが、返してくれない場合にはトケマッチの破産管財人等が借りて側に対して督促することになるでしょう。

 

預託手数料が2月以降発生しないのは、レンタル料を2月以降徴収しないからと解釈できます。
時計を預けているオーナーからすれば、トケマッチがレンタル料を徴収しているか否かにかかわらず預けている事実はあるので、預託手数料は時計が返却されるまでは払われるべき、という見方もあり得ます。
ただ、そんな余裕があれば法人解散・サービス終了などは発表するわけもなく、ここは諦める必要があると思います。

 

 

 ③預託商品は順次返却されるが、時期は未定(2024年7月末までが目途)

 

僕個人としては、この情報がそれなりに真摯な態度を示しているなと感じました。
要するに、まだ返却されていない時計についてはオーナーに戻すことができないので、返却までにどの程度かかるかがわからない、ということなのでしょう。
2024年7月末までが目途としているのは、1月末以降はレンタル料を徴収しないので、2月以降は返却の権利がトケマッチ側にあり、特異な事情がなければ半年程度あれば回収は可能だと見積もっているということではないかと推察します。

 

悪意を持って持ち逃げするつもりならば、『2024年7月末までが目途』などといちいち書かないと思います。
また、口先だけ達者な建前発言なら、『時間がかかっても必ずいつかお返しします!』みたいな根性論に逃げると思います。
『時期は確定できないけど、半年以内にはクローズできると思う』というのは、一定の腹落ち感がありますね。

 

 

 ④返却できない場合は損害賠償金を支払う

 

恐らく、トケマッチのサービスが続いていたとしても、借り手が返却してくれないでドロンするケースは極まれに想定された事態だったと思います。
従って、返却できない場合の損害賠償金支払いの事態は、この解散発表があるか否かにかかわらず、もともとありうるシナリオだったと考えられます。

 

この損害賠償金ですが、トケマッチが保険会社と保険を締結していたかどうかが定かではありません。
仮に保険を付保していた場合は、トケマッチが支払っていたであろう保険料の見返りとして、保険会社が損害賠償金を支払うことになります(この可能性が高いと思っています)。
一つ注意していただきたいのは、保険会社の損害賠償金は鵜呑みにしないことです。

 

僕が以前、子供のテニス教室で別のお子さんのボールが目に当たり、メガネが壊れてしまったことがあります。
その際、そのお子さんのご両親が『保険に入っているので保険会社とやり取りしていただいて新しいメガネを購入していただきたい』とおっしゃっていただき、保険会社と賠償金の交渉をすることになりました。
その際、保険会社から言われたのは、『いつ購入したもので、いくらだったか』です。
素直に答えたところ、賠償金の額は購入当初の金額から使用年数による減価償却後の、現時点の見積もり価格となりました。
大きな金額でもなかったので保険会社の言い分で承諾しましたが、今回の時計について同じ事態になったら話が変わります。

 

ロレックスなどの高級時計は、『購入当初の定価から使用年数による減価を差し引いた時価』が絶対の時価ではないということです。
例えばデイトナSSを定価で購入し、10年使っていたとしましょう。
200万円から10年の使用減価100万円を差し引いて、賠償額は100万円です、と言われる可能性が、普通にあると思います。
保険会社はいかに賠償金の支払いを少なくするかが仕事です。
デイトナSSの今の並行店買取価格が400万円だとしても、上記のロジックで100万円しか払わない!と突っぱねてくる可能性があります。

 

このような事態になったら、裁判も含めて戦った方が良いと思います。
ちなみに、トケマッチが保険に入っておらず、損害賠償金の支払い元がトケマッチ本体である場合には、損害賠償金はトケマッチの支払い可能額に制限される可能性が高く、回収率は大幅に少なくなるリスクは否定できません。

 

 

 無事返却されることを祈ります

 

借り手側の方々は、トケマッチが解散しても返却義務は残りますので、(そもそもレンタル料の徴収もされなくなりますし)きちんと返却しましょう。
専門家ではないのであまり詳しいことはわかりかねますが、トケマッチが解散しても債権債務を引き継ぐ後継人などがどこまでも取り立てるのではないかと推察します。

 

貸し手側の方々は不安もあろうかと思いますが、無事返却されることを祈っております。
『絶対大丈夫』などと安易なことは言えませんし、リスクが顕在化したということで、起きたことは受け入れるしかないように思います。
極めて個人的な見解ですが、上述の通り、普通に返却される蓋然性も低いわけではないとは考えています。
ただ、返却されたとしても、識別番号が一致しているか、(パーツの一部等も含めて)偽物にすり替えられていないか、などの最終確認が済むまでは気の抜けない状況が続くかもしれません。
無事に返却されることを祈っています。

 

 

 

 

最新情報をチェックしよう!