みずほの週休3・4日制について考える【経営大丈夫??】

  • 2020年10月8日
  • 2023年10月18日
  • Banker
 
日本経済新聞『柔軟で多様な働き方を選べるようにする動きが金融機関で広がってきた。みずほフィナンシャルグループは希望すれば週休3日や4日で働ける制度を12月にも導入する。資格の取得や専門知識を深める時間に充て、それぞれの業務とセカンドキャリアの充実につなげてもらう。』

 

『現在社員の数が多すぎて困ってます』と言ってるようなもんではないかと疑ってしまいます。

 

みずほが週休3・4日制を導入する意向を発表しました

 

休みが多いことが果たして良いことか、よく考える必要があります。

 

 本記事の内容

 

 

・制度の詳細
・仕事量との相関性

 

 

近年、銀行業界はロボ化やシステム化により社員数を減らす試みを行っています。
団塊の世代等のシニア層が定年退職していく自然減と、新卒採用者数の絞り込みで達成される見込みで、現役社員の首切りという話ではありません。
それでも、金利低下や世界的な経済成長の鈍化を受けて、トップライン(総収入)を増やしていく伸び率に限界がきており、新卒採用者をドンドン採用して企業規模・社員数を拡大させていく絵を描きにくくなってきているという実態があるのだと思います。

 

コロナ禍により、銀行業界も在宅勤務や時差出勤、印鑑・紙文化の見直しが急速に進んでいます。

 

 

銀行員パパブログ

  銀行に就職を目指すひと『コロナ禍で世間の働き方は大きく変わったけど、銀行員はどうなんだろう?テレワークとか在宅勤務と…

 

 

全てひっくるめて『働き方改革』といえるかもしれません。
そんな中、急にみずほが『週休3・4日制』を導入すると発表しました。

 

 

日本経済新聞

柔軟で多様な働き方を選べるようにする動きが金融機関で広がってきた。みずほフィナンシャルグループは希望すれば週休3日や4日…

 

 

社員からすると『休みが増えるの?ラッキー!』『給料が多少減っても休みが増えるならそっちのほうがいいや』と考える人も多いのではないかと思いますが、冷静に考えるとみずほの経営は大丈夫なのかと心配になる制度のような気もします。

 

 

制度の詳細

 

社員にとって金銭的なメリットはありません。

 

 みずほフィナンシャルグループの発表

 

 

みずほフィナンシャルグループは、希望する社員が週休3日や4日で働ける制度を12月から各社で順次始める。休日を使って資格や専門知識を取得し、それぞれの業務やセカンドキャリアの充実に生かしてもらう。銀行や証券、信託銀行に勤める計4万5千人程度から希望者を募る。柔軟で多様な働き方を認める動きが大手行で広がってきた。 ~中略~ 利用にあたっては土日に加え、毎週決まった曜日を休みとする。週休3日以上の制度を本格的に導入するのは3メガバンクで初めて。給与は週休3日だと従来の8割、週休4日の場合には6割まで減る。

 

 

コチラの記事で詳細が書かれています。
希望者が制度を適用できること、決まった曜日が休みになること、週休3日だと給料は2割減、週休4日だと給料は3割減ということです。

 

例えば月曜を休みにするとした場合に、その月曜が祝日だったら?
希望者は全員適用可能なの?
窓口業務は平日開けざるを得ないが適用可能なの?
昇給や昇格への影響は?

 

などなど疑問は次々出てきますが、そこまで詳細な設計はまだされていないということなのでしょう。

 

 

 給料の話

 

週休3日になる場合は給料が2割減になるそうです。
通常、1週間に5営業日だったのが4営業日になるわけだから、働く時間は4/5=8割となり、給料が2割減るというのは算数的には頷けます。
社員からすると得でもないし、損でもない。
会社からしても得でもないし、損でもない。

 

週休4日になる場合も同様です。
1週間に5営業日だったのが3営業日になるわけだから、働く時間は3/5=6割となり、給料が4割減るというのは算数的におかしくありません。

 

 

 休んで何するのか

 

増えた休日を活用し、資格学校や大学院、ビジネススクールで知識やスキルを磨くことを想定しているそうです。
これらの費用は会社持ちというわけではなく、恐らく個人負担になると思われます。
セカンドキャリアの充実に生かしてもらう、と記事があるわけで、それはつまりみずほの経営にとってプラスになるわけではないから、補助金等の待遇にはならないと考えます。

 

例えば、僕のように夫婦共働きで子供も小さく、世帯年収は十分にある場合だと、給料が多少下がってもいいから子供との時間をなるべく多く取る、という使い方はアリな気がします。
同じように女性の銀行員の場合には、子育て等に少しだけ軸足を移したいという場合には使えますね。(旦那さんが働いていることが前提)
いずれにしても、現在の給与水準に困っていないことが前提になるわけですが、銀行員の給料水準は世間一般から比べれば十分に高いので、こういった考え方をとる社員も少しは出てくるのかもしれません

 

 

 

 

仕事量との相関性

 

みずほは社員が有り余っているということでしょうか。

 

 給料が減るならば・・・

 

もしも、給料が今までと同じで週休3日になる、というのであれば、当然ながら社員一人一人に与えられる仕事量は今までと変わらなくて、『同じ量の仕事をこなせるのであれば週休3日にしても良いよ』という会社からのメッセージになります。
つまり、優秀で仕事の速い人間は無駄な出社をしなくてよいという、欧米型の実力主義が採用されるといえます。

 

ところが、今回のみずほの制度は、働く日数が減る分だけ、等しく給料も減るというものです。
給料が減るのであれば、その分仕事量もノルマも減らさなければ勘定が成り立ちません
『働く日数は減らして、その分給料も減らします、だけど仕事量はそのままね』→これは会社にとって有利すぎる。

 

逆に言うと、週休3・4日制度を希望者が適用できるというのが事実なのであれば、究極的には全社員が申し込んだら全社員が週休3日以上になることを意味します。
その分、社員ができる仕事量は減っているわけですが、社員数を増やすわけではないので代わりにやってくれる社員はいません。
つまり、『業務量対比で今の社員が余り過ぎてて、みんな週休3日以上になってもやっていけてしまう』と主張しているのに等しいと感じてしまいます。

 

 

 企業に寄り添った解釈をすると

 

もちろん、かなり極端な解釈だとは思います。
実際には、フロント部隊などの対顧客セクションや企画部門など、仕事量が多いところは現実的に適用が難しかったり、育児や介護などで週休を増やす必要性が認められた社員のみが適用できる、などとなる気はします。

 

また、週休が増えることで頭と心もリフレッシュでき、仕事の集中力が増し、生産性が向上できると期待される面もあるのでしょう。
休みの日に通常の業務に役立つセミナーや研修などへの参加する場合は、費用の一部を会社持ちとするのであれば、社員のスキルアップが会社自身のコスト削減にもつながるはずです。

 

 

 結論

 

現役の銀行員である僕としては、銀行の仕事量はそこまで極端に減らすことはできないと感じています。
なので、週休3・4日になったとしても、こなさなければならない仕事量は今と大きく変わらないのが実態ではないかと思っています。

 

『働く日数は減らして、その分給料も減らします、だけど仕事量はそのままね』
こうなってしまうので、結局のところ、この制度を適用しようとする社員がほとんどいないのではないかと思います。
仕事量が変わらないなら、給料減らしてまで休みを増やすメリットが社員側にはほとんどないからです。
もし、みずほに就職・転職を考えているかたは、面談のときにこの制度の適用事例や業務量との兼ね合い等をよく聞いてみることをオススメします。

 

 

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