銀行で女性が出世するのは難しい?実情を解説
女性銀行員の昇進のしやすさを解説します。
✔ 本記事の内容
・女性の出世のしやすさについて解説
近年は何事も男女平等。
むしろ男性のほうが肩身の狭い思いをする場面も増えてきたように思います。
とはいえ、仕事の世界ではまだまだ男社会の色が根強いのも事実です。
銀行に限らず、女性の場合は、人によって出産というライフイベントがあります。
そうでなくても、結婚を機に退職して家のことに専念するという考え方も古くからあります。
また、僕の職場でも、結婚して旦那さんが遠くに転勤になったのを機に退職する、ということもチラホラありました。
女性を一括りで語るのはよくないですが、そういった女性も多い=女性は途中で辞めてしまうかもしれない、という考えに結びつきやすく、それが少し過度に解釈されて『女性は昇進や昇格がしにくい』という幻想に繋がっているのかもしれません。
銀行で働いていて、先輩も同期も後輩も、たくさんの女性銀行員を見てきました。
結論から言うと、女性はむしろ昇進・昇格しやすいという実感があります。
僕の妻も銀行員ですが、産休を経ながらもこれまでストレートで昇格してきました。
銀行で働きたいと思う女性の方々にとって参考になれば幸いです。
職種による違い
一般職と総合職で戦う土俵が違います。
✔ 一般職
一般職というのは、事務を主な業務とする職種のことです。
男性で一般職として採用する銀行は、少なくとも僕は知りません。
僕個人は、一般職として働くくらいが丁度いいのですが、このあたりは男女不平等ですね。
事務を主な業務としていますので、外の顧客との交渉等は業務範囲に入りません。
銀行の支店の窓口などで個人のお客さんと手続きの話をする行員は一般職が多いです。
あれは顧客との会話はあるものの、交渉やセールス等の類の業務ではないということですね。
一般職の場合、給料は低めです。
昇進や昇格も、あるにはありますが、総合職に比べるとスピードは遅いです。
また、どんなに頑張っても課長くらいまでしか昇進することができません。
これは男女平等とかそういう問題ではなく、業務範囲が狭い代わりに給料や昇進にも制約がある、ということです。
また、転勤を伴う異動がなく、残業も少ない、比較的上司に守られる立場にあると思います。
ちなみに、本当に優秀な一般職の方は、稀に総合職に職種転換するケースもあります。
周りの総合職を見て、『私のほうが仕事できる!』と思う方で、かつ周りや上司も認める実力がある場合にのみ適用される制度です。
✔ 総合職
総合職というのは、事務に限らず、お客さんと交渉や営業があり得る職種です。
いわゆる銀行員というとこちらを指すことが多いのではないでしょうか。
昔は銀行の総合職はほぼ男性が占めていて、現在40代~50代の総合職の女性の数は本当に少ないです。
30代の女性総合職はかなり多い印象があり、20代になるともしかすると3割~4割くらいは女性ではないかと思います。
総合職の場合には、男性と女性で扱いに差はありません。
やらなければならない業務範囲も同じです。
ただ、細かいことを言うと、夜遅くに残業で残って金庫を閉める等の一部業務は女性を対象外とするような部署もありました。
給料は一般職と比べると圧倒的に高いし、昇給のスピードも速いです。
総合職である以上、スペシャリスト・ゼネラリスト、どちらの道もあって、最終的には部長・役員・社長まで昇進していくことが期待されます。
ちなみに、総合職から一般職に職種転換するケースは、ほぼ無いと思った方が良いです。
キャリアダウンを認めるのは、会社にとっても社員にとっても好ましくないと考えるからですね。
コチラの記事でも解説をしているので、参考にしてみて下さい。
バリバリ働きたい女性サラリーマン『男女関係なく、銀行でバリバリ働いて給料を稼ぎたいし、昇進もしていきたい。でも男性社…
女性の出世のしやすさについて解説
一般職は出世しにくい、総合職は出世しやすい、が僕の結論です。
✔ 一般職
一般職は、基本的に全員が女性です。
出世や昇格のライバルは、周りの女性一般職全員になります。
従って、相対的に自分が優れていなければ昇進も昇格もできません。
もちろん、一般職の方は途中で退社するケースも少なくありません。
採用側もリクルート側も、お互いにそんな『暗黙の了解』があるようにも思います。
事務も丁寧さや手続き・マニュアルの知識、経験が求められるので、なるべく長く勤めてもらった方が会社としても喜ばしいのですが、やはり結婚や出産といったライフイベントを機に退社してしまうケースは少なくありません。
ただ、最近は育休・産休の考え方も一般的になってきたこと、夫婦共働きが当たり前になってきたこと、などから、一般職でも産休後に働き続ける方が増えてきた印象です。
いずれにしても、一定数の一般職銀行員が辞めていっても、全員が昇進できるわけではなく、周りの女性陣と比べて自分が優れていなければ上司も評価することは難しいでしょう。
だから、一般職で昇進・昇格しようと思ったら、周りのライバルに差をつけなければならない、ということになります。
また、一般職の場合は昇格できたとしても課長くらいまでに制限されます。
✔ 総合職
総合職の場合、ライバルは男性銀行員と女性銀行員になります。
要するに、女性しかいない一般職はライバルにはならない、ということです。
昨今、女性活躍や子育て支援などが叫ばれており、女性の管理職登用が推進されています。
2019年には女性活躍推進法が改正され、企業にこんな義務を課すようになりました。
女性活躍推進法に基づき、国・地方公共団体、301人以上の大企業は、(1)自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析、(2)その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表、(3)自社の女性の活躍に関する情報の公表を行わなければなりません(300人以下の中小企業は努力義務)。
また、行動計画の届出を行い、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良な企業については、申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができます。認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マークを商品などに付することができます。
女性活躍推進法特集ページについて紹介しています。…
厚労省の認定マークというのが『えるぼし』でして、横浜銀行等でも取得のプレスリリースを出しています。
企業側としても長く働いてくれる優秀な女性を採用するために、こういった活動をしているわけですね。
このような世の中の流れからすると、銀行としても女性を昇進させたいと考えます。
もし、全く同じ評価の男女銀行員がいたとして、あと一人しか昇進させられない、としたら、人事は女性銀行員を昇進させると思いますよ。
✔ 実例紹介
僕の妻は現役の銀行員総合職で、出産・産休・育休を経て今も働いています。
これまで最短で昇格していますし、子育てもあるので定時退社を原則としていても年収800万円以上の給与水準です。
もちろんその分、与えられる業務量・範囲は多く、限られた時間の中で質も量もこなすスキルが必要ですが。
その他にも、産休・育休を経ながらもかなり早いペースで次長職に昇格した先輩もいます。
この方は、行き帰りの電車の中でもタブレット端末でメールチェックを行ったり、家に帰って子供の世話を一通りしてからパソコンで資料を作成したりと、家事育児と仕事をパワフルに掛け持ちしているスーパーお母さんです。
僕にはとてもマネできませんが、頑張って働きたいと思う女性にはそれだけのフィールドと可能性がある業界だと思っていただいて良いと思います。