銀行員が使う専門用語・隠語について【現役銀行員が”銀行員あるある”を解説】

  • 2022年7月28日
  • 2023年10月25日
  • Banker
 
銀行に就職してまもない人『銀行で勤めることになりましたが、上司や周囲が使う言葉が意味不明で困っています。銀行員に独特の専門用語や隠語について、分かりやすく解説してほしいです。』

 

こういった質問にお答えします。

 

この記事の内容

 

僕は、現役の銀行員です。
ふたつのメガバンクを経験しており、妻も現役の銀行員をしています。
そのため、一般的な銀行員と比べて、より標準的な銀行員がどんなものであるかをご説明できると思います。

 

寿司屋の店員さんがよく使う言葉、ありますよね。
例えば、『上がり』=お茶、『むらさき』=醤油、『おあいそ』=勘定、などです。
知らないと絶対にわからない言葉の数々、業界ごとにこのような専門用語は数多あります。
銀行の世界でも同じように、知ってないと絶対にわからない専門用語・隠語がありますので、それらについて分かりやすく解説したいと思います。

 

 

銀行員が使う専門用語・隠語について

 

銀行に就職している方は知っておくと恥をかきません。

 

 アンコ(あんこ)

 

 

アンコミットメントの略。コミット(約束、自信をもつ)できないもの・ことを指す。将来の事業計画を立てる際に、『アンコ詰め(アンコを詰める)しないと』などと使われる。言葉とは裏腹に決して甘くない。

 

 

 ノンエレ(のんえれ)

 

 

ノンエレメントの略。意味合いとしてはアンコに近く、実態の無い空箱を指す。例えば、来期の目標20億に対して、今現在見えている案件だけだと15億までしか届かない場合で、不足分5億を埋める手段が全く思いつかない時、この5億をノンエレと呼ぶ。

 

 

 詰める(つめる)

 

 

主に二つの意味がある。
一つ目は、内容・詳細を『詰める』と言う意味で使う。一般用語としても馴染み深い。
二つ目は、社員を『詰める』と言う意味で使う。この場合の『詰める』は、『追い込む』『白状させる』『叱る』などの意味合いとなる。誰かが詰められていると場の雰囲気が悪くなる。

 

 

 コミライン(こみらいん)

 

 

コミットメントラインの略。融資先に対して、銀行が貸付する最大上限額のこと。コミライン契約の範囲内であれば、融資先はいつでも銀行に融資を申し込むことができる。ただ、常にフルコミライン状態になることはほぼなく、多くの会社は余裕を持たせた枠の設定を行なっている。

 

 

 アンコミ(あんこみ)

 

 

アンコミットメントラインの略。『アンコミ枠』のような使われ方をする。アンコミ枠は、銀行側がコミットはしないものの、口約束レベルでコミットメントラインを超える貸出を行う上限額を意味する。

 

 

 現認(げんにん)

 

 

部あるいは同フロアで自分を除く全ての社員が退社したことを確認すること。通常、管理職が現認を行うので、管理職は残業時間が多くなりがちである。

 

 

 再鑑(さいかん)

 

 

数字や文章の内容を、作成者とは別の者、特に上席に確認してもらうこと。検印(けんいん)とも言う。再鑑は文書や数字が外部に流出する前の最後の砦であり、相応の注意力が必要になる。
 
 

 鉛筆を舐める(えんぴつをなめる)

 

 

将来の予測や来期以降の計画を立てる際、現実的に達成可能と思われる事象だけを見込む訳ではない。ノンエレなども上積みされることになる。結果として、非現実的な目標や予測が成り立ってしまう訳だが、恣意的にいかようにも書き換えが可能とも言える。この『恣意的に数字を操作する』ことを『鉛筆を舐める』と表現する。現場にとってはいい迷惑。『鉛筆舐め舐め』とも言う。

 

 

 ガラポン(がらぽん)

 

 

ガラガラポンのこと。元々複数に分かれていたもの・ことを、一緒くたにして再構成しなおすことを指す。良い面もあれば、悪い面もある。

 

 

 握る(にぎる)

 

 

主に2つの意味がある。
一つ目は、目標に到達しなそうだけれども、そのことを隠し通すこと。または、ミスを犯したのだが、それを公にしないこと。『握りつぶす』に近い意味。
二つ目は、顧客との間で条件を交わすことを指す。契約書に落とし込んで調印するまではいっていないが、口頭ベースでは条件が折り合った場合に、『顧客と条件について握った』などと言う。

 

 

 行って来い(いってこい)

 

 

出ていくが、結局戻ってくるので、トータルで見るとチャラになること。例えば、契約書作成に係る弁護士費用を一旦銀行側で立て替えて、のちに顧客に当該費用を請求した場合、立て替えた費用は『行って来い』でチャラになる。逆も同様で、契約書作成に係る弁護士費用を顧客に請求し受領したが、その後そのお金を弁護士に支払った場合も『行って来い』なので、顧客からもらったお金は収益とは見なされない。

 

 

 ざっくばらん(ざっくばらん)

 

 

気軽に、と言う意味。新商品やアイデア出しを行うミーティングの場では、『ざっくばらんに意見を言いましょう』などと使われる。だいたいの場合、ざっくばらんにならない。

 

 

 ポテンヒット(ぽてんひっと)

 

 

ある仕事が、誰にも拾われずに間に落ちてしまうこと。通常、各部署がそれぞれの所管業務を行なっており、全ての業務はいずれかの部署が引き取ることになるはずなのだが、各部署の所管業務のいずれにも属さない性質のものだと、誰にも拾われずに銀行全体としてはミス・欠落・失敗に繋がることがある。ポテンヒットを防いだ部署は褒められるが、別に対価は無い。

 

 

 ポンチ絵(ぽんちえ)

 

 

簡単な図示を指す。社内資料や顧客宛提案資料は、兎角文字にしがちで、読み手にとっては直感的に分かりづらいことが多い。もちろん稟議や契約書などの正式文書は文字で構成されるべきだが、社内説明資料や顧客宛提案資料は正式文書ではないので、分かりやすさが求められる。図示も拘ればキリが無く、美的センスが求められるものだが、ポンチ絵は、四角や丸などで登場人物とその関係を示すような、本当に簡単な図のこと。

 

 

 ご進講(ごしんこう)

 

 

主に銀行内の役員・社長宛説明のこと。『説明』でいいじゃん、何様だよ、といつも思う。

 

 

 夕礼(せきれい)

 

 

業務時間終了時に、部全体で集まって何かしらの報告やお疲れ様でした、と言う場。一般的には『ゆうれい』なのだが、銀行や部によっては(なぜか)『せきれい』と呼ぶことがある。業務時間開始時の場合は、朝礼というが、こちらは銀行や部に関係なく、『ちょうれい』と呼ぶ。不思議だ。

 

 

 ネットとグロス

 

 

例えば、100億円の融資を実行して、その対価として1億円の手数料をもらうとする。この時、ネット決済にするのであれば、100億円と1億円の差し引きで99億円を振り込んでお仕舞となる。グロス決済にするのであれば、100億円の振り込みと1億円の振り込みの両トランザクションを走らせる。普通に考えればネット決済の方がみんなの手間が少なくて済むのだが、融資を受ける側からすると1億円支払ったという履歴を残したいという意向でグロス決済を好む企業も存在する。

 

 

 

まとめ

 

思いついたら随時更新していきます。

 

 他の業界でも使われているものもあるかも

 

と言うことで、銀行員の世界で使われる独特の言葉・言い回しなどをあげてみました。
ガラポンとか行って来いとかは、他の業界でも一般に使われている言葉かもしれませんが、僕が銀行業界しか経験していないものですから、銀行独自で無かったら申し訳ありません。

 

銀行に入社・就職して間も無い方は、???と思う用語も多いと思いますので、少しでも参考になれば幸いです。
この記事は思いついたらベースで随時更新していきたいと思います。
また、『先輩がこんなこと言ってたんだけどどういう意味?』といった疑問があれば、コメント欄に適宜お寄せください。
わかる範囲で解説を加えていきたいと思います。

 

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