白州蒸溜所見学ツアーの全貌と行ってみた感想!
ジャパニーズウイスキー人気は留まることを知りません。
✔ 白州蒸溜所とは
https://twitter.com/hanzawa7260/status/1554702848012652544?s=20&t=4BEIA-oWEF_iu_qbm8zWAw
白州蒸溜所とは、山梨県のJR小淵沢駅から車で20分ほどのところに位置する、サントリーのウイスキー工場です。
南アルプスの山々に囲まれた自然豊かな環境で育まれた天然水を使ってウイスキーが作られています。
コロナ禍以降は蒸溜所そのものが閉鎖され、一般の方の見学は不可能となっていましたが、2022年5月から受け入れを再開。
単なる工場見学や売店の利用だけであっても事前予約が必須で、入場者数が制限される状況ではあるものの、工場見学ツアーも含めて機能が復旧する運びとなりました。
東京からわずか2時間。山梨県北杜市にある、世界でも稀な森に囲まれたウイスキーの蒸溜所。工場見学(有料・事前予約制)のほか…
たとえ売店の利用だけであっても事前の予約は必須です。
シャトルバスに乗るのは予約無しでも可能ですが、蒸溜所の入り口で門前払いを食らうことになりますのでご注意ください。
工場見学の予約には3つの種類があり、以下の通りです。
②試飲無・工場無料見学(時間制限無し、無料)
③試飲・ガイダンス付南アルプス天然水工場見学ツアー(60分、無料)
①は、白州ノンエイジと構成樽原酒、及びハイボールの試飲ができ、ガイダンスがついて工場内を一巡して解説してくれるツアーです。
②は、工場内の各施設を自由に見て回ることが出来ます。ガイダンス等はありませんので、各施設の詳細について説明を聞くことは出来ませんが、売店やバーの利用は可能となっています。
③は、白州蒸溜所で作られている南アルプス天然水に関するガイダンスがついて工場内を一巡して解説してくれるツアーで、最後に天然水等の試飲がついています。
✔ 行き方(How to go)
白州蒸溜所は山梨県の南アルプスの山々に囲まれた自然豊かな盆地に作られています。
JR小淵沢駅から車で20分ほどかかります。
小淵沢駅は非常にきれいな建物で、改札はSuicaやPasmo等にも対応しています。
蕎麦・うどんの軽食を食すこともでき、トイレも整備されています。
駅前にはタクシー乗り場があり、常に1~2台程度は停留しているため、呼び出すのに苦労することは無いと思います。
白州蒸溜所に向かうシャトルバスも用意されており、小淵沢駅を出て左奥の方に停留所があります。
1時間に1本と少ないので、事前予約の時間とうまく接続できない場合にはタクシーを使うのが良いでしょう。
シャトルバスの定期便詳細は以下の通りです。
✔ 到着後
さて、タクシーかシャトルバスで小淵沢の自然の中を右往左往20分ほどして白州蒸溜所に到着すると、入り口で検温と入館手続きになります。
入館手続きが必須となっているので、繰り返しますが、事前予約は必須です。
たとえ売店のみ利用しようと思っても、上記①~③のいずれかの事前予約をしていなければ工場内に立ち入ることもできません。
入館手続きでは、予約内容の確認と、有料ツアーの場合には支払いが行われます。
現金のみですのでご注意ください。
予約内容の確認が済むと、手続き完了の証として首から下げる入館証と工場内マップ、白州蒸溜所のガイドブックが手渡されます。
入口から売店・バー・工場本体までは徒歩で約5分かかります。
木々に囲まれた大自然の中を歩いていくと、様々な建物が見えてきます。
✔ ウイスキー工場見学ツアーの全貌!
ここからはネタバレを含みます。
実際にツアーに行って魅力を体験したいという方は閲覧をお控えください。
ツアーは、売店・バーの横にある大きな博物館(上記ピクチャ)の中に集合して始まります。
開始時間の5分前集合ですので、入り口で手続きしてから博物館まで徒歩5分かかることも踏まえて時間管理するとよいでしょう。
雨天の場合は足元も悪くなるため、余裕を持った時間配分をオススメします。
なお、ツアーの後は工場内に16:30までは留まることが可能です。
その間、売店やバーは利用できますので、買い物を先に済ませないといけないわけではありませんからご安心ください。
集合場所で待機していると、ガイダンスの方が登場し、蒸溜所全体の概要説明が始まります。
南アルプスの山々に囲まれた自然豊かな場所で育まれた天然水を使ってウイスキーが作られていること、白州蒸溜所は日本で2番目のシングルモルトウイスキー蒸溜所として1970年代に建設されたこと(1番目は大阪の山崎蒸溜所)、などが紹介されます。
一通り概要説明が終わると、博物館を出て徒歩で工場に向かいます。
工場の入り口で、ウイスキー作りの全容が解説されます。
ウイスキーは、水と大麦麦芽で作られます。
原料として大麦麦芽のみを使用しているものをモルトウイスキーと言い、大麦麦芽以外にトウモロコシ等の穀物を混ぜ合わせたものをグレーンウイスキーと言います。
大麦麦芽を熱するときに、泥炭であるピートを使用することがあり、これをすることで麦芽にピートの香りをつけることができます。
白州では、軽くピートで燻した麦芽を少量使っているそうで、ライトリーピーテッド麦芽と呼んでいます。
また、一つの蒸溜所のウイスキー原酒のみから構成されたものをシングルウイスキーと言い、複数の蒸溜所のウイスキー原酒を混ぜ合わせたものをブレンデッドウイスキーと言います。
『白州』は白州蒸溜所内のウイスキー原酒のみから構成され、かつ原料に麦芽のみを使用しているので、『シングルモルトウイスキー』という冠名称となっています。
皆さんお馴染みの『山崎』も、シングルモルトウイスキーです。
一方、こちらも皆さんお馴染みの『響』は、ブレンデッドウイスキーとなっており、山崎蒸溜所・白州蒸溜所・知多蒸溜所の3か所のモルトウイスキー原酒をバッティングさせてつくられています。
(知多はグレーンウイスキーなので、響はブレンデッド『モルト』ウイスキーではありません。)
工場内では、仕込→発酵→蒸溜の過程を見ることができます。
まずは仕込です。
仕込は、ステンレス製の大きな釜の中で、水と麦芽を混ぜ合わせる工程を言います。
これにより、もろみと呼ばれるウイスキーの元となる麦汁ができます。
続いて発酵です。
発酵には、酵母と呼ばれる菌が混入されます。
高温に熱せられた状態になると、酵母がもろみをアルコールに分解してくれる働きを有します。
近年はこの発酵釜がステンレス製を用いる場面も増えているそうですが、白州蒸溜所では古来より使用してきた木の釜を使い続けているそうです。
木のほうが後々ウイスキーの香りにもアクセントが付きやすいと言われているから、というのが理由だそうです。
実はこの発酵までの過程はビールでも同様です。
ビールとウイスキーの違いは、この後に『蒸溜』するか『醸造』するかの違いで明確に分かれます。
工場見学の最後は蒸溜です。
写真だとわかりづらいですが、ブロンズ色の釜が複数点在しているのがお分かりになるかと思います。
それぞれ微妙に異なる形状をしており、スライムのとんがり部分がストレートに伸びているものや途中で窪みのあるもの、とんがり部分からアルコールを摘出する左肩下がりのパーツの角度もものによってまちまちになっています。
これにより、香りを一部だけ吸い上げるものや全部吸い上げるもの、アルコール度数が高いものや低いもの、といった様々なウイスキー原酒=ニューポットが出来上がるわけです。
まだこの時点ではウイスキーとは呼べません。
ウイスキーと呼ぶには、ここから最低でも3年の熟成が必要となります。
また、様々な原酒をブレンダーがブレンドし、最終的に『白州』として売り出されるシングルモルトウイスキーが出来上がるわけです。
蒸溜まで見終わると、いったんその工場を退出し、バスで別の建物に移動します。
次の建物はまさに木樽による熟成が行われる工場となります。
木樽は、白州蒸溜所の近く(車で数分と言ってました)に木樽生成工場が存在し、そこで自家製の木樽を作っているそうです。
ホワイトオークと呼ばれる木を使用し、一個一個職人が手作りしなければできない、まさに職人芸と言えます。
また、自社製の木樽以外にも、バーボンを熟成するのに使ったバーボン樽やワインを熟成するのに使ったワイン樽等を仕入れ、それらもウイスキーの熟成に一部使用してます。
樽の内側を焦がすことで、ウイスキー原酒に木樽の香ばしい香りがつき、そうした原酒を他の木樽のニューポットとブレンドすることで、我々の手元に来る『白州』や『白州12年』などが出来上がります。
ちなみに、『白州12年』と呼ばれるものは、ウイスキー原酒が最低でも12年以上経過したもののみから構成されていることを示唆します。
熟成すればするだけよくなるかというとそんなこともなく、木樽や原酒の状況次第でピークとなる時期は様々なのだそうです。
昔、ウイスキーが売れない時代には、熟成年数が長い原酒をそのままにしていてもダメになってしまうから、ノンビンテージの原酒に混ぜ合わせる、といったことも行われていたそうで、今考えると非常にもったいないなと感じてしまいますね。
ちなみに、ウイスキー原酒は木樽の中で呼吸をしており、少しずつ蒸発して木樽の中で量が減っていきます。
上の図の上段にある木樽2つのうち、左のものは右のものよりも熟成年数が10年短いものです。
量が明らかに左のほうが多く、色も右のほうが濃くなっているのがお分かりになるかと思います。
熟成年数を経ると、蒸発による『天使の分け前』と呼ばれる部分が無くなってしまい、また木樽の内側の焦げ目がウイスキーに染みわたって着色の加減も変わってきます。
この『天使の分け前』という呼び名は、ウイスキー作りを人間に教えてくれた天使が、その分け前として原酒の一部を飲んでいってしまう、という海外の言い伝えからきているとのことでした。
✔ いよいよ試飲!
こうして出来上がった『白州』、いよいよお待ちかねの試飲となります。
有料ツアーの場合は1,000円かかりますが、その価値は十分あると思います。
木樽熟成工場から再度バスに乗り、バー白州の隣の試飲会場に足を運びます。
飲み物は、左から順に、オーク樽原酒(アルコール度数50%)、ライトリーピーテッド原酒、白州ノンエイジ、白州ノンエイジとなっています。
最後の白州ノンエイジは量が多めになっていて、奥にある炭酸水と氷でハイボールを作るためのものです。
左から3つは完全に飲み比べ用となっており、香りやアルコール感、ピートの香りの違いを感じるための構成となっています。
オーク樽原酒とライトリーピーテッド原酒はここでしか味わえないので貴重です。
3つの違いやウイスキーを表現する香りの種類、その中で実際に売られている『白州』の特徴は以下の通りです。
夏の暑い時期に行ったので、喉がカラカラでした。
最後のハイボールは本当に美味しかった。
一瞬で飲み干しそうな勢いでした。
ハイボールを作る時のコツは、個人的には6つ。
②氷はなるべく無色透明なものを用意
③ウイスキー:炭酸水=1:2~1:3
④氷をグラス一杯に入れてマドラーで全体を冷やす
⑤炭酸水をグラスを伝って注ぎ、最後にマドラーで一回し
⑥ミントはおにぎりを握る格好で、空気で叩き香りを出す
本当に最高でした。
✔ バー白州に移動!
有料の試飲付見学ツアーを終えると、隣にあるバー白州に移動します。
ここからは自由行動です。
バー白州は、16時ラストオーダー、16時半閉店で、3杯までしか飲めません。
大変貴重な山崎25年、響30年もあったので本当に悩んだのですが、せっかく白州蒸溜所に来たのだからと、白州12年・白州18年・白州25年の3つをチョイスし、飲み比べることにしました。
ウイスキー初心者に毛が生えた程度の僕の感想にしか過ぎませんが、熟成年数が長期になるほどアルコールの尖った感じがまろやかになっていき、なんといっても木の香りが徐々に強くなっていくのがよくわかりました。
白州25年なんて、恐らく飲む機会はこれからもほとんどないと思うので、貴重な体験でした。
ちなみに、山崎25年・白州25年・響30年は、15mlで3,700円します・・・
山崎18年・白州18年・響21年は、15mlで800円とお手軽(?)です。
山崎12年・白州12年・響ブレンダーチョイスは、15mlで200円と破格です。
白州蒸溜所に行ってみた感想・注意点
行ってみた感想と注意点を少々。
✔ 白州蒸溜所の注意点
まず、事前予約が必須だという点です。
アポなし訪問では売店にも立ち入ることは出来ません。
事前予約はWEBから行うことが出来ますが、かなりの人気でなかなか予約が取りづらい状況となっています。
ちょくちょく見ていると空きが出ることもままありますので、根気強くチェックするのをオススメします。
実際、僕も行く前々日になって有料ツアーに1枠空きが出ていたので、無料工場見学を振り替えるように電話でお願いしました。
また、時間にはゆとりを持った方が良いです。
小淵沢駅から白州蒸溜所入口までは車で20分ほど、入り口での入館手続きに5分ほど、入り口から工場見学ツアー開始場所まで徒歩5分ほど、と、結構な時間を要します。
売店は16時半で閉店となりますので、こちらもツアーとの兼ね合いで買い物を先にするのか後にするのか決めましょう。
売店ですが、白州ノンエイジと蒸溜所限定原酒が、どちらか1人1本まで購入できます(2022年8月現在)。
購入すると首にぶら下げている入館証の裏側にスタンプを押されますので、2本以上の購入は出来ません。
ただし、売り切れているときもありますし、逆に時間帯をずらすと品が出てくることもあります。
僕が行った日も、10時代に蒸溜所限定原酒が売り切れてしまい、ノンエイジは品切れだったようですが、15時台になってノンエイジが少し入荷したらしく購入することができました。
ただ、山崎蒸溜所がノンエイジと蒸溜所限定原酒の販売を取りやめたことから、白州蒸溜所もそれに続く可能性があります。
ご注意ください。
もう一点、細かな話ですが、工場内は飲食禁止です。
お昼ご飯として駅弁を買って工場内で食べようと思っていたのですが、警備員さんに注意されてしまいました。
食事は小淵沢駅内までで済ませてから向かいましょう。
白州蒸溜所内のレストランはコロナ禍ということもあり、終日閉店しています。
✔ 感想
以上、白州蒸溜所の見学ツアーの全貌と詳細の説明でした。
いかがでしたでしょうか。
これから行ってみる方はぜひ参考にしてみて下さい。
工場見学は、ガイダンス付で試飲付のほうが100倍楽しめると思います。
ただ、人気もあるので予約が取りづらいです。
無料工場見学でもバー白州で3杯までは有料試飲することが出来るので、そちらでも十分に満足いくと思います。
昔は、有料試飲ツアーでは最後の試飲で白州12年や18年が出てきていたそうです。
最近はジャパニーズウイスキーの人気が高まりすぎていて、試飲に出す余裕すらないということなのでしょう。
過熱感は嬉しくもあり、残念でもあります。
ジャパニーズウイスキーがもっと身近なものになってくれるとありがたいんですけどね。