銀行員がミスするとどうなる?【ミスの種類と責任の取り方を解説】

  • 2020年10月13日
  • 2023年10月18日
  • Banker
 
銀行に就職を目指しているひと『銀行員の仕事って精密で神経使いそう。少しのミスも許されないイメージがあるな。仕事は頑張りたいなと思うけど、もしミスしちゃったらどうなるんだろう?減給とか昇格できないとか、結構厳しいのかな?実際に現場で働く銀行員に教えてほしいです。』

 

こういった疑問にお答えします。

 

銀行員のミスと責任の取り方を解説します

 

ミスの種類と、ミスしたときの責任の取り方を教えます。

 

 本記事の内容

 

 

・銀行のミスにはどんな種類がある?
・銀行員がミスしたときの処分方法

 

 

銀行員はお金や数字をとてもよく扱います。
社内報告や稟議、顧客あて資料では文章を書く機会もとても多くあります。
どんな会社でもミスをすれば始末書を書くことになると思います。
メーカーだと、商品製造に欠陥があった、遅刻した、会社の物品を壊した、などでしょうか。
飲食・サービス業だと、お客さんからクレームがあった、レジの精算を間違えた、仕入れ過剰で在庫を抱えた、などでしょうか。

 

銀行の場合、会社・組織としてミスが起こらないように、確認・再鑑を取ることが必要になっています。

 

 

銀行員パパブログ

  銀行に就職を考えているひと『銀行員ってすごく細かくて優秀なイメージがあるけど、実際にどんなふうに仕事を進めてるんだろ…

 

 

それでもやはりミスは起こるものです。
ミスが起こるたびに再発防止策を考え、新しいルールができてくるわけです。
日進月歩で堅確な事務体制が整っているといえば聞こえはいいですが、働く銀行員からすると次々新しいルールがでてきて、業務をこなすことに支障がでることもあります。まぁ仕方ないのですが・・・

 

一口に『ミス』といっても、いくつか種類があります。
また、その軽重によって処分も変わってきます。
この辺りの感覚について解説していきます。

 

 

銀行のミスにはどんな種類がある?

 

銀行はモノを扱わない代わりに、結構厳しいミスの基準があります。

 

 勘定間違え

 

窓口で実際に預かったお金と記帳した数字が不一致の場合などです。
ただ、再鑑、再再鑑も行われるし、現物その場限りの精神でチェックしているので、頻度は低いと思います。
もし1円でも帳簿上の数字と実際のお金が一致しない場合は、ミスとなります。

 

銀行はお金を扱う業界ですし、信用・信頼が基盤です。
その意味で、ここは本当に厳しい管理がなされています。
支店で1円足りないことになったら、総動員で原因追及になるし、始末書を書くことになります。
足りないからポケットマネーで補填する、といったこともできないし、ばれたら大変まずいです。

 

 

 クレーム

 

個人・法人問わず、クレームや批判があったときには、すべて記録として残したうえでミス扱いとなります。
特に個人の場合は、いちゃもんや難癖をつける顧客もいるので、銀行員側に非があるケースばかりではないのですが、クレーム・批判と客観的に判断されればミス・事務過誤となります。

 

法人の場合は会社対会社の付き合いなので、いち担当がいちゃもんということはほとんどありません。
ただ、銀行側に非がある場合にはクレームを言われることは普通にあります。
例えば、指定日に顧客へ送金するはずだったのに伝票を切り忘れて着金が遅れた。
契約書に書かれている内容がもともと話をしていた条件と違っていた。など。

 

クレームは、勘定間違えや帳票間違え等に起因するケースと、そうでないケースがあります。
銀行側に明らかな過失がある場合は両方に該当する場合もあるし、クレームには至らない場合もあります。
一方で、銀行側に明らかな過失がなくても、クレームにだけ該当する場合もあります。

 

 

 帳票・契約書・計算間違い

 

利息の請求をするときに、利息額の計算を行います。
一般的な融資や預金利息は、ホストシステムによって計算されるので、銀行員が間違えるという場面はないですが、少々特殊な融資やストラクチャー、不動産や年金などの外野では事務セクションが独自に計算する体制をとっています。
もちろん、再鑑体制はとっているものの、こういったところでもミスが起こります。

 

計算間違いをした場合、利息額を載せる帳票は間違い=ミスになります。
また、間違えて計算された金額で資金決済したら、それもミスになります。
帳票間違いくらいであればクレームになることは少ないですが、資金決済にまで影響が及ぶとクレームにも発展することになります。

 

数字以外の面でも、顧客あての商品説明書に書かれた記載が事実と異なる場合だったり、顧客と締結した契約書の内容に誤記載・虚偽説明があればミスとなります。
意図的な誤記載ではなくても、事実として間違えているのであれば、ミスはミスです。
ただし、意図的かどうかは、この後の処分の仕方に影響があります。

 

 

 社損が発生した場合

 

クレームにもならないし、顧客に不利益を与えないケースでも、銀行にとって損失となる場合はミスに該当します。
例えば誤送金で取り返せない場合や、過大に支払いをしてしまったケースなどです。
また、金融庁や公的機関から課徴金を請求されるような事案の場合です。

 

東証の誤発注などもニュースになったことがありますが、あれも個人顧客はウハウハな一方、銀行側(証券ですが)は大きな損失を負うことになっています。
社損額が大きい場合には、金融庁に一報が必要になっており、事後対応にも追われます。

 

 

銀行員がミスしたときの処分方法

 

基本的には、始末書と再発防止策です。

 

 原則

 

原則として、始末書を書いて、再発防止策を策定して終了です。
減給や昇格への影響も考えなくてよいと思います。
まぁ、上司や関係部署からの問い詰めがきびしいので、始末書と書くのがとても骨が折れるのですが・・・

 

 

 例外

 

悪質なケースや、社損額の大きいケース、頻度が高い場合などには減給や懲戒の対応がとられることがあります。
横領や刑事・民事案件等に発展する場合は該当する可能性が高いです。
僕の経験では、決裁者の印鑑を偽造して、さも決裁されているかのように社内を偽った事例もありました。
このケースの時は、その担当者が即異動となり、窓際部署に左遷されていましたね。

 

銀行員をしていると、とにかくウソをつかないことと、悪意を持った行為をしないこと、これが大切と思います。
もちろんミスすることはあるし、意図せずクレームに発展することもあります。
でも、そのたびに再発防止や事態の鎮静化に愚直に取り組めば、銀行側はあなたを守ってくれます。
医者や工場現場で働く人々は、結構身近に命に係わることが多いわけですが、銀行はミスして始末書を書いたって、命を取られることはありません。
そのくらいの図太い精神で仕事をしていった方がいいかもしれません。

 

 

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