女性で銀行員になるならば、新卒採用を圧倒的にオススメします
ファンドマネージャーの経験をもとに運用業務について語ります。
✔ 本記事の内容
・ファンドマネージャーと似た仕事を解説
・まとめ:運用がオススメな就活生
僕はメガバンクに勤める銀行員です。
かれこれ15年ほど銀行員生活を続けています。
もともと新卒でとあるメガバンクに就職し、途中で別のメガバンクに転職をしました。
あまり多くのセクションを経験したわけではなく、一つの部署の在籍期間が比較的長いと思います。
平均4年くらいですかね。
その中で、一時期ファンドマネージャーをやっていたことがあります。
大学時代に金融工学を専攻していたこともあり、なんとなく運用って面白そうだなと思っていて、機会があれば試してみたいなとは思っていた分野です。
僕に限らず、金融機関を志望する学生で運用部署に行きたいという方は多いように思います。
今回は、大学生で就活中の方向けに、銀行の運用部署の仕事内容を解説したいと思います。
経験者が実際に語る、ですのでかなり実態に即した内容になっていますのでご参考ください。
ファンドマネージャーとは?仕事内容を解説
ファンドマネージャーの仕事内容を解説します。
✔ 概要
ファンドマネージャーは、顧客から預かったお金を運用する専門家のことです。
『顧客から預かった』というのも種類がいくつかあって、代表的なものは年金です。
企業年金を預かり、その資産を運用するわけですね。
年金以外にも、企業が抱える余剰資金を預かって運用するケースもあります。
銀行の場合、抱える預金を自己勘定として運用する部署があり、こちらも広い意味でファンドマネージャーと言えます。
銀行が持つ自分の資産を自己勘定というのに対して、顧客から預かった資産は他人勘定と言ったりもします。
✔ ファンドマネージャーが活躍する会社
他人勘定で運用するセクションを持つ会社としては、投資信託会社や投資顧問会社、信託銀行などが挙げられます。
信託銀行や投資信託会社は、実際にお金を顧客から預かり、その管理もします。
投資顧問会社は、実際にお金を顧客から預かることはせず、信託銀行や投資信託会社から運用指図の委託を受けて業務を行うという違いがあります。
要するに、『お金を実際に預かって運用する』か『お金は預からないけど運用指図だけする』の違いです。
自己勘定で運用するセクションを持つ会社は幅広くあります。
銀行や信託銀行、生命保険会社や損害保険会社などが挙げられ、広くたいていの金融機関が該当します。
中小の信用金庫や農業組合などでも自己勘定の運用セクションは多かれ少なかれあるはずです。
✔ 他人勘定の仕事内容
他人勘定の場合、お金を預ける顧客が運用方針を指図するケースがほとんどです。
例えば、企業年金を信託銀行に預けるにあたって、なんの制約もなく運用を任せてしまったら、超ハイリスク投資にされて年金が大きく元本棄損してしまうかもしれません。
そうならないように、企業は信託銀行に対して、『運用は安全重視、利回りは2%を目標、BBB格付未満は投資対象外』などの投資条件を出してきます。
ファンドマネージャーは、その方針の範囲内でのみ裁量が与えられ、預かった資産の残高を増やすために日々運用していくわけです。
基本的には、顧客の資産ごとにファンドは別管理になります。
AというファンドとBというファンドが同じ運用方針とは限りません。
それぞれの運用方針を確認したうえで、その通りになるような運用をしなければなりません。
また、同じ運用方針のファンドが複数あった場合には、それらのファンド間で異なる運用をすることも△です。
同じ運用方針なのだから、同じ運用をしないと対顧客に説明ができない、というわけです。
CファンドとDファンドが同じ運用方針だとして、Cファンドの担当がEさん、Dファンドの担当がFさんだとしましょう。
CファンドとDファンドは同じ運用をしていかなければならないので、EさんとFさんは同じ運用になるように足並みを揃えなければなりません。
このように、ファンドマネージャーに裁量が少ないケースが少なくなく、部署内の別のファンドマネージャーとのコミュニケーションやチームとしての方向性を守る必要があります。
✔ 自己勘定の仕事内容
自己勘定の場合、部署や会社としてどう資産を増やしていくか、どう運用していくかの方針が肝になります。
顧客の意向はないので、比較的裁量が大きくなりますが、その分責任も重くなります。
取れるリスク量も個々人やチーム、部署の単位で決められますので、その範囲内で出来る運用をしていくわけです。
年金は大きくリスクを取る運用には適しません。
財産の最終的な受益者は企業を退職したサラリーマンであり、サラリーマンの老後の資金を工面するための資産だからです。
一方で自己勘定は企業業績を伸ばすために行う運用ですから、他人勘定に比べれば取れるリスクは大きくなります。
『バリバリいろんな投資を積極的にしてみたい』という方は、自己勘定のファンドマネージャーをオススメします。
✔ アクティブorインデックス
ファンドマネージャーにも、アクティブファンドマネージャーとインデックスファンドマネージャーの2種類に大きく分かれます。
アクティブファンドマネージャーは、目標とするインデックスファンドを上回る成果を上げる運用を求められます。
インデックスファンドマネージャーは、目標とするインデックスファンドと同じ成果を上げる運用を求められます。
例えば、日経平均株価というのは有名で身近なインデックス指標です。
東証1部に上場する225銘柄の平均株価を指す(超簡単に言うと)もので、インデックスファンドマネージャーは日経平均株価と全く同じ運用をすることを求められます。
リバランスで構成銘柄の入れ替えや、入れ替え時の価格のズレなどもなるべくインデックスを同じようにしなければならないところに難しさがありますが、日経平均株価が上昇しようが下落しようが、それに追随することが求められるので、指標が下落したら同じだけ自分のファンドも下落していればOKなわけです。
アクティブファンドマネージャーの場合、あるファンドの指標が日経平均株価であれば、日経平均株価をビートする(超過する)運用が求められます。
そのため、日経平均と異なる銘柄選択をしたり、割合を変えたり、タイミングをずらして割安な購入をしたりして、参考となるインデックスを上回るように努力します。
日経平均株価が当初より-10%だったとしたら、自分のファンドが-5%ならよくやった!だし、-15%なら評価は下がってしまうわけです。
ファンドマネージャーと似た仕事を解説
よく耳にする似た仕事との違いを解説します。
✔ トレーダー
トレーダーとは、ファンドマネージャーからの指図に従って、マーケットで実際に株や債券の発注をかける業務を行う人のことを指します。
例えば、ファンドマネージャーがトヨタの債券を10億円買いたいからよろしく、とトレーダーに指図します。
ファンドマネージャーは、自分が運用するファンドの資産の範囲内で、投資方針に従ってこれを今これだけ買うべし!と言ってトレーダーに指図を出します。
トレーダーは、その指図を受け取ったら、トヨタの債券10億円分の発注をいくつかの証券会社にかけます。
どの証券会社に在庫がありそうか、どの証券会社だったら安値を提示してきそうか、何時頃に発注をかけると安く買えそうか、等を考えて発注をかけます。
ここがトレーダーの腕の見せ所です。
トレーダーの業務は、ファンドマネージャーが兼務してしまっている会社もあると思います。
ファンドマネージャーとしても、自分で発注のタイミングを決めたいと思うことも多く、トレーダー任せにしたくない人も少なくありません。
✔ ポートフォリオマネジャー
ポートフォリオマネージャーとは、企業から預かる資産のうち、どの程度の割合を何のアセットに割り振るかの方針を顧客に提案する人のことです。
ファンドマネージャーをFMと略す一方、ポートフォリオマネージャーをPMと略したりもします。
ポートフォリオマネージャーは、ファンドマネージャーよりも顧客・営業寄りです。
例えば、企業に余剰資金がある場合に、『そのうち4割は債券に、3割は株式に、3割はPEファンドにするとこれだけ資産の伸びが期待できますよ。債券については●●会社のこの商品がオススメです。』みたいな営業をかけるわけです。
自社のファンドマネージャーがどんな商品を運用していて、どんなパフォーマンスを上げているかを把握して、顧客に適当な商品を提案していく専門集団です。
✔ ゲートキーパー
あまり聞きなれない言葉かもしれません。
ゲートキーパーとは、自社で直接投資・運用できていないような分野にも投資をしたい場合に、他社の商品を購入しにいく業務を担う集団です。
例えば、日系企業が自社内でPEファンドに直接運用するほどのコネクションもインフラも人材もノウハウもないけども、顧客からはそういった投資を求められる場合があります。
その場合に、外資企業(大企業から精鋭の超小規模企業まで)でそういった商品を扱っていてパフォーマンスのよさそうなところを調査し、自社取扱ラインナップに加えていく、といったことをしています。
尖った商品に投資する専門家『の調査』が本職であり、自分たちで運用しているわけではありません。
ただ、企業からはこうした世界的にトレンドとなる超少数精鋭部隊の商品に興味を持つ方も少なくなく、それなりにニーズがある分野になっています。
✔ アナリスト
アナリストとは、ファンドマネージャーが投資するために役立つ情報や財務状況分析をしたり、買いか売りかの推奨を出すコメンテーター的な位置づけです。
アナリストが自分でファンドの運用をすることはありません。
インハウスアナリストというのは、ファンドマネージャーを抱える会社(例えば銀行)の中に在籍するアナリストのことで、自社のファンドマネージャー向けに意見を出します。
新聞等に寄稿している有名なアナリストは証券会社が抱えていて、彼らはインハウスアナリストではありません。
まとめ:運用がオススメな就活生
ピタッと合う適性はこんな感じかと思います。
✔ 文系か理系か
ファンドマネージャーといっても、債券か株かによって分かれます。
債券の場合、金利や利回り、リバランスによる構成比率の変更、リスク計測など、結構理系的要素が少なくありません。
そのため、債券ファンドマネージャーには理系出身のひとが多くいます。
もちろん、文系でも商学部や経済学部で数学の素養があれば親和性は高いと思います。
株の運用の場合は、投資先企業の財務諸表や成長性を見る目が必要であり、数学的要素は小さいです。
そのため、文系・理系の差は特にないように思います。
✔ 世の中のニュースに感度の高い人
投資をするにあたり、日経新聞に限らず、多くの情報への感度が求められます。
特に株式運用の場合、投資先企業や同業他社、他業種の動向など、幅広い知見が求められます。
現代社会はグローバルボーダレスなので、日本時間の夜の間に欧米で起こったことにも目を向けなければなりません。
そのため、プライベートと業務の垣根がややグレーになるような仕事とも言えます。
こうしたことにストレスを感じない人は向いていると思いますし、ストレスに感じるかもと思う人にはやや不向きだと思います。
✔ 英語力
現代社会はグローバルにボーダレスです。
証券会社から情報を仕入れようと思ったときに、説明者が欧米現地のひとですべて英語でカンファレンス、ということも珍しくありません。
コカ・コーラの株式に投資したかったら、コカ・コーラ社の決算説明を聞かなければならないし、アナリストの論評を確認するときにも原文は英語です。
英語へのアレルギーがあるとファンドマネージャーは結構きついのではないかと思います。
✔ 一つのことに集中できるひと
やはりファンドマネージャーは専門集団です。
株式でも債券でも、自分の得意分野についてはアナリストと同じくらいに情報収集を行います。
証券会社にも頻繁に電話やブルームバーグでコミュニケーションを取り、自分が儲かるためのチャンスやヒントを常に探しています。
儲かりそうな投資アイディアをいつも頭のどこかで考え、家に帰ってからも海外マーケットの動向をついつい見てしまう、そんな集団です。
プライベートはプライベートと割り切りたい、と思うひとにはやや不向きな気がします。
逆に、なんでもいいので没頭するような趣味を持つ人であれば向いているを思います。
✔ まとめ
いかがだったでしょうか。
脅かすようなコメントも多々しましたが、合う・合わないが結構明確に出る分野だと思うので、ある程度イメージできたほうがいいと思いますし、少しでも参考になれば幸いです。
ファンドマネージャーに限らず、運用の世界は新卒からずっと同じ分野に残り続ける人たちが多いです。
例えば35歳で急に運用やりたいです、といっても採用されにくいし、社内での異動でも行きにくい世界と言えます。
運用の世界に興味があるのであれば若いうちから、出来れば新卒採用時からその世界に足を踏み入れた方が可能性が高いと思います。
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