銀行員は株取引は禁止です
銀行員の投資方法について解説します。
✔ 本記事の内容
・実際の銀行員の事例
老後資金2,000万円問題。
コチラの記事ではこのように説明されています。
銀行員の場合、まず公的年金と厚生年金が相応に出ます。
ただし、勤続年数と昇格の実績によって差が出ます。
昇格がなかなかうまくいかず、部長・次長になれなかったとしても、世間的には十分な年金が確保されるでしょう。
そもそも、勤続中の年収が世間的に十分に高いので、少しずつ貯蓄していけば2,000万円を定年までに貯めるのは全然可能です。
国税局からの発表『民間給与実態統計調査は、統計法に基づく基幹統計であり、昭和 24 年分から始まり、今回が第 71 …
例えば、年収1,000万円の場合には手取り(税金や社会保険料を除いた可処分所得)は800万円くらい。
ざっくりいうと、手取り月収が50万円、年2回のボーナスが100万円ずつ、といった感じです。
月収50万円のうち、住宅ローン10万円、食費10万円、光熱費2万円・・・とか考えていくと、赤字になることはそうそうないことが分かると思います。
これでも毎月赤字でボーナス頼みになる家庭は、出費が多いor随分贅沢している、のではないでしょうか。
ただ、貯蓄していったとしても、昨今の金利環境だと全然増えません。
定期預金金利は、ネット系の金融機関でも0.1%くらいです(2020年10月時点)。
1,000万円を1年間、定期預金に預けても、利息はわずかに1万円です。
むしろ、口座にお金を預けているだけだと口座維持管理手数料を取られることになる、みたいな話も出ており、利息を得るどころか預けたお金が減ってしまう可能性だってあるのです。
老後のために貯蓄し、貯蓄を少しでも増やすために投資に一部回していくことが社会的にも求められるわけですが、銀行員にはできる投資とできない投資があります。
このあたりの線引きと、実際に銀行員がどんな運用をしているかを解説していきます。
投資できる商品とできない商品
株や債券は×、リアルタイムで取引可能な商品は△、為替や投資信託は〇です。
✔ 個別株、債券⇒×
例えばトヨタの株式を購入する、ということはほぼすべての銀行員ができません。
事務しか扱わないような部署の銀行員は、限定的に認められるケースもありますが、基本的に×です。
理由は、銀行という企業性質上、個別銘柄に関するインサイダー情報を取得する可能性が常にあるからです。
特定の企業が増資する、特損を出す、という情報が公表されれば、株価に大きな影響がでます。
こうした増資・特損などの情報は、公表される前に主要取引銀行に伝わることになります。
これらの情報を知って株取引をするのはインサイダー取引に該当し、法律上禁止されています。
銀行員個人も、銀行自身も、罰せられることになります。
基本的に銀行という組織は、性悪説・保守的です。
ルールを厳しくしないと、インサイダー取引に該当する輩が出てこないと言い切れません。
だから、銀行員はインサイダー情報を取得する可能性がないような部署でも、基本的に個別株・債券の取引はできないようになっています。
もしルールを破って株取引をしたら、懲戒・減給等になります。
既に保有してしまっているケースなどで、なんらかの理由で資金化が必要な場合には、部長の事前承認などが必要になります。
『保有してしまっている』とは、例えば相続で引き継いだり、取引可能な部署のときに保有した場合などが該当します。
✔ ETF、仮想通貨、FX、コモディティ⇒△
まず、ETFはグレーゾーンです。
理由は、あくまでも『上場株式』に該当するためです。
日経平均連動のETF等、個別企業のインサイダー情報とは直接結びつきませんが、『上場』の『株式』であることがネックになります。
また、後ほど紹介する投資信託と異なり、証券取引所が開いている間はいつでも売買ができる点もグレーな要因です。
つまり、会社の仕事中に売買できたら気になって業務に集中できないという観点です。
仮想通貨やFX、コモディティは、『上場』でも『株式』でもありません。
引っ掛かる要素としては、『投機的取引』であることと、『いつでも売買できる点』の2つです。
銀行員はお金を身近に扱う職業であり、横領や着服などの不正を避けるために給料が高いという側面があります。
給料が高いのに投機的な取引にばかり湯水の如く金を使っていては身もふたもありません。
そのため、投機的取引は禁じられています。
『いつでも売買できる点』はETFと同様ですね。
これらは企業によってもルールがまちまちだし、企業の中でも明確に線引きされていないものがあります。
節度ある取引で、仕事ぶりに問題がなければ許容され得ますが、注意が必要です。
✔ 外国為替(外貨預金)、投資信託、国債⇒〇
外貨預金も投資信託も、これまでにあげてきた『ダメな理由』に該当しないからOK、ということになります。
まず、どちらも個別企業のインサイダー情報がダイレクトに関係しません。
上場の株式でもないし、いつでも売買できるわけでもありません。
この『いつでも売買できるわけではない』を少し詳しく解説します。
投資信託や外貨預金は、基準価格や為替レートが日次でしか変動しません。
ETFやFXは、毎秒数値が変動します。
日経平均連動の投資信託を購入・売却しようと思ったら、証券取引所が次に閉まる時の値でしか取引できません。
仕事中に、リアルタイムで取引することができないから、業務への集中を妨げるリスクや投機的取引に繋がりにくいというわけです。
実際の銀行員の事例
保守的な(給料が高いので無理しない)人が多い印象です。
✔ 僕の妻(メガバンク職員)の場合
まず、僕の妻を例に挙げます。
妻もメガバンクの総合職で、子育てに軸足を置いた抑制的な勤務体系になっており、額面の年収は700万円~800万円というところでしょうか。
彼女の場合、全くといっていいほど投資をしません。
ETFやFXなど論外、投資信託や外国預金にも手を出しません。
結構、周りの銀行員を見ていても同じように相当保守的な社員が多い印象を受けます。
妻もそうなのですが、投資するよりもむしろ給料の一部を天引きで財形に回し、貯蓄を蓄える(全然運用はできていないが)人が過半数を占めるのではないかと思います。
後は、NISAのように税制メリットがあるなら少しだけ投資しようかな、というくらいなものです。
保守的、というのは悪い言葉ではなく、むしろ『賢いから損をしない道を選ぶ』とも言えます。
投資とは、損をするリスクがあるが、その分資産を増やす可能性もある、ということであり、損をしないことを優先して貯蓄に回す、というのも解としてはアリだとは思います。
✔ 僕(メガバンク職員)の場合
僕の場合、普通預金に預けていても全然利息が乗らないので、資産の大半をリスク資産に回しています。
運用先は投資信託が太宗で、主に米国高配当ETF(僕の所属する部署はOKでした)です。
流行に乗ってFX、仮想通貨に手を出したこともありますが、今はポジションを持っていません。
外貨預金は、以前はよく定期預金に預けて金利収入を得ていました。
当然、為替の変動で元本が上下しますが、定期預金の満期に『円にしなければならない』という制約がないものにしか投資しないので、仮に定期預金の当初と満期で為替が円高に振れていて円ベースの元本が当初価格を下回っていたとしても、そのまま外貨で持ち続けていて円安になるまで待てば損はしません。
余裕資金の中で一部を投資に回しているイメージですね。
投資信託も一部手を出していますが、日経平均連動ものばかりです。
なぜかというと、①比較的わかりやすいから、②ノーロード(手数料相当が無い・安い)ものが多いから、の2点が主な理由です。
日経平均連動の投資信託は、各社揃って商品を出しているし、第三者評価機関の目も光っています。
ライバルが多いから手数料はダンピングが続いているので、投資者としては無駄な手数料がかかりません。
投資信託は幅が広くて、例えば金とか債券とか、いろんなし商品がありますが、日経平均連動型が最も簡単でコストのかからないカテゴリーだと思っています。
資産の太宗は米国高配当ETFでして、値上がり益を追うのではなく、保有し続けて配当金を得ることを主眼にしています。
米国のETFは信託報酬率が0.03%等の超格安な商品も多く、日本と違って投資家保護がきちんとされています。
僕の米国高配当ETFへの投資方針や経緯等については、FIRE(早期退職)に関する連載記事の中で書いておりますので、よろしければご覧ください。
現役銀行員の僕『銀行員だと給料もそこそこ。共働きで世帯年収も多いし、資産も随分増えてきた。働くのが苦痛なわけじゃない…
僕が投資信託や米国高配当ETFを購入している証券会社は、SBI証券になります。
手数料も安く、インターネットで簡単に売買が可能なので、オススメです。